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札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】(中編)
3:考察
主ノズル単独での室内温度変化(実験1)については、屋外方向への放水により、水と気体(空気及び可燃性ガス)の間で粘性抵抗(気体や液体に働く摩擦)が生じ、放水が室内の気体を巻き込むことによって強制的に排気され、排気された分の空気(外気)を吸気口から取り込むことにより換気が成立し、徐々に温度が低下したものと考えられる。
主ノズルと抑制ノズルを併用した場合での室内温度変化(実験2)については、主ノズルの換気効果に加えて、抑制ノズルによる室内への放水により、天井付近の高温気体や天井及び壁が冷却され、主ノズル単独(実験1)と比較し大きく温度が低下したものと考えられる。
また、水力換気ノズルを使用することで、抑制ノズルの使用の有無に関わらず、室内温度を低下させる効果が認められたことから、フラッシュオーバーの抑制にも一定の効果があると考えられる。
4:まとめ
水力換気ノズルの使用について室内温度変化という観点でみると、室内が約400℃程度の環境下においては、主ノズル単独時と比較すると、主ノズルと抑制ノズルを併用することで、より室内の温度を低下させることができる。
また、抑制ノズルの使用有無に関わらず、室内温度を低下させる効果があるため、フラッシュオーバーの抑制にも一定の効果がある。
[ドローンからの赤外線カメラ映像の比較]

髙玉通廣札幌市消防局 総務部消防学校 教務課 消防科学研究所長 消防司令
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