ロープレスキューの種をまく GRIMPDAY想定解説(その1)

Special

ロープレスキューの種をまく GRIMPDAY想定解説(その1)

Twitter Facebook LINE
Day1 ワリビ・アミューズメントパーク 第2想定:Psyke
想定

屋内コースターにおいて、中央の一段高い位置にあるレールを挟んで反対側のGLにいる要救助者を担架に収容し、コースターの上部を通ってスタート位置のGLまで救出する。地上から上方の状況は見えない。また、コースターのレール部分は高電圧のため接触してはならない。両サイドに上下移動するためのロープ2本が事前に設定されている。暗所と狭所における救助活動。

人、資器材のすべてがスタートした位置に戻った時点で終了するF5(Finish5)想定。

GRIMPDAY想定解説(その1)
想定の図。
GRIMPDAY想定解説(その1)
レールの上から見た全景。両側の1段下に向けて2本のロープが事前に設定されている。
活動解説

当初の救出プランは両サイドの天井部にハイディレクションを使用したクロスホールとした(ストロングサイド、ウィークサイドそれぞれロープを操作する)。しかし、上部にアクセスした時に天井とコースターとのクリアランスが不十分だと判断し、テンションラインを使用して救出するプランに変更。

R1、R2はセンターで折り返してダブルで収納したロープバッグ1つを携行し、天井の鉄骨を使用してエイドクライミングでウィークサイドへ移動。両サイドの天井部にはロープを折り返すプーリーを設定した。

ウィークサイドへの担架の搬送は荷重もかからないため、当初のプランであったクロスホールで行った。ウィークサイドの天井部までの引き上げは、リガー2名でストロングサイドからのロープで行い、ウィークサイドのロープは天井部でいったん担架を固定する目的と横移動時のタグラインに使用するために1本設定し、ウィークサイドの天井部まで引き上げたら一度そちらのロープに荷重を移し、ビレイラインはRが降下した懸垂ロープにアサップロックを取り付けた。それによってストロングサイドのロープ2本を切り離すことができるので、この2本を切り離し、ウィークサイドの天井部に端末を固定し、この引き上げロープをハイラインに切り替えた。

横移動については、このハイラインと担架をダブルプーリーで繋ぎ、ウィークで固定していたロープ1本とストロングサイドから追加したタグライン1本でストロングサイドまで移動させた。担架へのアテンドについては、距離も短く、両サイドのR2とリーダーで要救助者を監視できると判断してアテンド不要と判断。

続いて、ストロングサイドのタグラインを地上へ下ろすためのメインラインとして使用し、ビレイラインは引き上げと同様に懸垂ロープにアサップロックを設定し、地上へ下ろして救出完了。その後、隊員全員がスタート位置まで戻り、想定を終了した。

GRIMPDAY想定解説(その1)
複雑な想定は説明を聞くのも大変です。後方はハンガリーチームのオブザーバー。
GRIMPDAY想定解説(その1)
活動開始(タイム計測開始)は隊員とのブリーフィングから。待機時間があったため、リーダーは隊員と接触せず1名で救出プランについて検討している。
GRIMPDAY想定解説(その1)
GRIMPDAY想定解説(その1)
GRIMPDAY想定解説(その1)
GRIMPDAY想定解説(その1)
図版◎井竿真理子

次のページ:
ストロングサイド(スタート地点)の状況 他