
Special
ロープレスキューの種をまく GRIMPDAY想定解説(その1)
ポイント
基部に向かって広がっている支柱から担架を離すためにどういったシステムを選択するのかが一番のポイントであった。この想定ではタワーレスキューなどで多用されるスケートブロックを選定したチームも多かったが、その方法を選択したチームのほとんどが苦戦していた。
スケートブロックは上部の活動の負担を減らすというメリットがある。この想定が単に上部の要救助者をGLに下ろすだけならその方法が有効であったかもしれないが、この想定では支柱の内側から引き上げた担架を支柱の外側に出さなければならない。木製の枠に囲まれた部分から担架を外に出すためには、一定の角度で斜めに下りていくスケートブロックでは内側から引き出すことが困難である。つまり、最初の段階でそのシステムを選定するかが成否の分かれ道であった。
また、スタート位置(活動拠点)から要救助者の位置が確認できない状況であったため、接触してから要救の状態を把握する、状態に合わせての活動判断が必要になった。要救助者の収容を必ず2人以上と考えるのではなく、状態に応じて1名の進入を止めたことも効果的な活動のポイントであったと思う。また、要救助者のアテンド(介添え)についても、1度付いた人が最後までではなく、上げから下ろしの切り替えポイントで必要ならアテンドを切り替える判断も効果的であった。
逆に、スケートブロックを選択しなかったJW9PMは、使用するロープの量は増えた。例えば、支柱の内側の上部へ引き上げるロープを1本にして、R2が進入するために設定した懸垂ロープをビレイラインとして使用すれば、使用するロープを1本減らすことができ、よりシンプルな活動ができたのではないかと思う。
コントローラー&オブザーバーからの フィードバック
登はんする際、チェストアッセンダーはハーフポイント(1系統に満たない)なので、アッセンション等を併用するように指摘された。JW9PMチームは、チェストアッセンダーはワンポイント(1系統)であると考えていると説明すると理解してくれたが、ロープレスキューには様々な考え方があるということを改めて実感した瞬間であった。その後はそうした考え方に対する対策として、ランヤードにつないだアッセンションを使用する、胸のD環にベーシックをつける、LOV3のような登はんもできる下降器を使用する、といった方法をとったが、この点は評価員によって見解が様々であった。このほかには特に指摘はなく、非常にスピーディで効率よくスマートな活動であったという高評価をいただいた。
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Day1 ワリビ・アミューズメントパーク 第2想定