
Special
ロープレスキューの種をまく
第1回「ギアチェック」
装備に対する考えが問われる
私たちは、海外大会に出場するまで、装備のチェックについて十分な意識が不足していたように思います。そのため、初めて海外大会に出場するときには、どこまでが使えてどうなったら使えないのかがわからず、やみくもに新しい資機材を揃えたので、担当者から「日本チームはお金持ちなのか?」とジョークを言われたこともありました。自分たちが使用する装備の点検、維持管理についての意識付けという点においても、学ぶことは多かったように思います。
また、ギアチェックは資機材の状態を点検するだけでなく、世界各国のレスキューチームの装備を一堂に見ることができるという素晴らしい時間でもあります。
それぞれに他のチームの装備を見て回り、意見交換をしている姿は、「使用する資機材の違いがロープレスキューの違いではない。どんな資機材を使っていてもロープレスキューは同じだ」ということを実感させられます。
他国チームの装備、パッキング方法を知るチャンス
またギアチェックが終わると、再び活動できるようにパッキングしていきますので、各チームのパッキングの工夫も見ることができます。
こうした資機材チェックから得たものも、近年の日本のロープレスキューに大きな影響を与えています。海外のレスキューチームが使っていて見せてもらった資機材が、今は日本で広く流通しているものもたくさんあります。
ギアチェックは、活動の安全を確保するために重要なものですが、十分なチェックをするためには多くの時間と点検スタッフを要しますので、近年は、各チームで十分なチェックをした装備を持ち込むこととし、そのことを記載した装備チェックシートに署名をして提出するというやり方も行われています。
このように、資機材チェックひとつをとっても私たちは多くのことを学ぶことができました。これまで日本では、ロープレスキューの活動に注目することはあっても、装備の量や、パッキングなどについては、あまり意識されていなかったように思います。
資機材チェックを通して得た経験は、実戦的なロープレスキュー活動に繋げていくために非常に重要なものでした。
2019年の台湾大会「Ch'iao」
JapanWest9PMチームとして優勝した大会