緊急消防援助隊【大阪方式】<br>団結力と現場対応力(2)

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緊急消防援助隊【大阪方式】
団結力と現場対応力(2)

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< 動線を考えた食事コーナー >
配膳コーナー。「本日夕食メニュー」や「○○食堂」などと書いてメニューを書き出すことも疲れた隊員を楽しませる工夫。「一方通行」の標識もある。
広島県消防学校で食事に並ぶ隊員。食事も一斉に始まるので、次々に渡せるような配置と動線が大事。
ごみの分別を行う後方支援隊。
後方支援も後半になると、ごみ分別コーナーもより完成度の高いシステマティックなものに。
まだ夜中といえる3時頃、休む間もなく現場に向かう活動隊。
猛烈な暑さに打ち勝つ【緊援隊の熱さ対策】
◎チーム3班体制、15分ごとに休憩

西日本豪雨が発生した年は7月から連日40度近い日が続く記録的猛暑の夏であった。捜索救助にあたる部隊の休憩のとり方等はすべて小隊長の判断にゆだねており、ある隊では1チームを3班に分け、各班は15分活動したら15分休憩、疲労がたまる後半は15分活動したら30分休憩させ、完全に身体を休めさせるなどして熱中症の発症を予防した。

◎ベストタイミングでの「氷」調達

活動開始直後は、隊員が現場に携行する飲料水は常温だったが、なんとかして冷えた飲料水を提供し、隊員の活動パフォーマンスが上がる手助けをしなければと考えた後方支援隊は、早朝3時に宿営地を出発する活動隊に合わせ、その1時間前に氷の調達に走り、クーラーボックスに飲料水と併せて氷を入れ、冷えた飲料水を提供していた。

なお、猛烈な暑さに対して飲料水が足りず、現地調達する際、被災地住民が入手できなくなることがないようにと後方支援隊はできるだけ被災地から離れた場所まで調達に走った。

◎流水うどんで食欲UP

炎天下での活動を余儀なくされた西日本豪雨。あまりの暑さに、昼食に用意したパンが喉を通らない、という状況を目の当たりにした後方支援隊は、昼食に流水麺を用意することにした。

熱湯で茹でる必要がなく流水麺は冷やしうどんにピッタリ。活動する隊員にも好評で、こうした機転の利いたアイデアが隊員のモチベーションアップにもつながった。

昼食の冷やしうどんにはわかめとネギを加えた。
活動先へ行って飲料補給を行う後方支援隊。
2018年の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)において、緊急消防援助隊約400名体制(活動後半は規模縮小)で約1カ月間にわたり捜索活動を続け、みごとなチーム力を発揮した大阪府大隊。 その代表本部となる大阪市消防局に、「大阪方式」ともいわれる緊援隊運用の秘訣を聞く。 (誌面掲載時の記事を3回に分けて掲載します)
Jレスキュー2018年11月号掲載記事 写真◎大阪市消防局提供(顔写真を除く)

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