Special
国際文化・観光都市「京都」を守るプライドと攻めの戦術【京都市消防局】
京都市消防局の消火戦術
木造建物密集地域を多く抱える京都市消防局では大火への発展を防ぐため、以前から①出動途上から包囲体形を考慮した水利部署、②燃焼建物を四方向から包囲する筒先配備、③早期に屋内進入し、火災が小さい間に一挙鎮圧を図る、④延焼経路となる小屋裏や壁体内に放水し延焼を阻止、といった消火戦術を用いている。
さらに、速消小型水槽車や独自のナビゲーションシステムといったハード面での整備や、京都市消防活動総合センターでの訓練により、災害現場活動能力の総合的な向上を図っている。京都市消防局は、これまでの火災現場の経験で培った経験を基に、消火戦術にさらなる磨きをかけ、火災から歴史ある京都の街並みを守り続ける。
注水死角を放水する
上阪 知史京都市消防局 警防部 消防救助課 本部指揮救助隊長 消防司令長
「木造火災は、延焼経路を読んで、先回りして迎え撃たなければ止まらない。その戦略を立てる指揮隊長は、管内の建物と道路事情を熟知した者でなければならない。そのため京都市では最高指揮者を所轄の指揮隊長としている」
金城 周蔵京都市消防局 警防部 消防救助課 消防係長 消防司令
「近年は住宅用火災警報器や携帯電話の普及により火災が早期に発見、通報される事から、早期に鎮圧し人命救助が可能な小規模火災が増加傾向ではあるが、現場での判断の遅れが延焼につながるので、一つ一つ手順を確認して訓練をすることが大事だ」
小林 知之京都市消防局 技術指導課 訓練指導係長 消防司令
「消防活動総合センターには、全国で唯一、ガスではなく杉の葉や藁を燃やして実火災訓練を行える施設があり、京都の街並みを再現するレイアウト変更可能な訓練用建物もある。技術指導課という専門部署もあり、京都市民の暮らしや文化財を守るために隊員の教育にも重点を置いている」