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燃え抜け防止と気密構造のコツを徹底解説!
煙と炎をコントロールできるFCB作成法
FCB(ファイヤー・コントロール・ボックス)を活用した火災性状の再現やドアコントロールのテストは、消火戦術の理解促進や屋内進入の危険性の周知のみならず、火災原因調査の学習にも役立つ。Jレスキュー2024年7月号では、このFCBの作成方法を掲載。ここでは、その一部をご紹介しよう。
FCB作成で失敗しないコツ
FCB(ファイヤー・コントロール・ボックス)を活用した火災性状の再現やドアコントロールのテストは、消火戦術の理解促進や屋内進入の危険性の周知のみならず、火災原因調査の学習にも役立つ。しかし、FCBを作成していざ燃焼させてみたところ、すべての部屋に煙が充満してしまいフラッシュオーバーやバックドラフトが再現できなかった、あるいは火点のある部屋の壁や床が燃え抜けてしまって思ったように煙と炎を制御できなかったといったような失敗をした人はいないだろうか?
これらの失敗を起こさないためのコツは、徹底的に「気密性の維持」を突き詰めることにあった。これまでに30回以上、FCBの作成と実証を繰り返してきた“FCBの達人”の製作現場に潜入。気密性を追求して用意した材料や道具、作成過程を一部紹介しよう。
FCBを作成するための材料とツール
材料はすべてホームセンターで購入でき、今回の材料は総額で1万3000円程度(購入する店舗や時期により価格変動がある)。メインで使用するのは着火しづらいラワン合板。広葉樹由来の材料で主に構造材として使用している。針葉樹合板は油分を含んでいるため、着火しやすい。そのため、構造材(ラワン合板)の内側に張ることにより燃料の補助的役割を担いつつ、構造材と含めて多層構造となるため燃え抜け防止の役割も果たしている。石こうボードは燃え抜け防止のために使用するが、受熱に対する耐性が向上するものの、燃焼室内にて燃料にはならないので、火点となるA室全面とB室の前面部のみに使用する。
【今回準備した材料】
- ラワン合板(1820×910×12mm)
- 針葉樹合板(1820×910×12mm)
- 石こうボード(1820×910×9.5mm)
- シリコンシーラント
- 25mm細ビス
【作成に使用するツール】
- 100cmアルミ定規
- 25×50cm差し金
- 電動丸ノコ
- 電動ドリル
- のこぎり(刃幅の小さいもの)
- コーキングヘラ
- コーキングガン
- ハサミ
- カッター
- 金やすり
- 紙やすり
- コンベックス(金属製メジャー)
- 耐切創手袋
- 保護メガネ
- 耳栓
- マーキング用筆記具
- パーツトレー
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最初は寸法にこだわりながら作成開始