PH試験紙は化学剤検知に使えるか?<br>HAZMATとCBRNの流れを踏まえて<br>【後編】

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PH試験紙は化学剤検知に使えるか?
HAZMATとCBRNの流れを踏まえて
【後編】

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ノビチョクと検知紙変色

2023年5月の米国陸軍予備役ニュースには、M8検知紙の第4世代化学兵器、ノビチョクに対する使用が説明されている。Aシリーズの化学剤の存在下では、色反応は以下の画像のようになる。

M8検知紙がノビチョクを検知したときの色反応
画像は「米国陸軍予備役ニュース」(https://innovation.army.mil/News/Article-View/Article/3380958/cbrn-m8-paper-improvements/)より。

すなわち、濃い緑色から始まり、10分以上後に黄緑色に変化する。最初の段階では、VXとの見極めは難しそうである。いずれにせよ、このように検知紙の色を見るためには、相当量の、少なくともマイクログラムオーダーの量がないと難しいだろう。

おわりに

ここまでで、まさか「PH試験紙でノビチョクを検知してみよう」とか、あるいは「PH試験紙でVXは検知できますか?」と質問してくる読者はいないものと信じる。「もっとわかりやすく教えてくれ」とか、「うちの消防本部まで来て解説しろ」といった要望には、個別に対応したいと思う。

Jレスキュー本誌の連載「世界のCBRNe 最新トピックス」の著者の浜田昌彦氏の記事をJレスキューWebでも掲載。今回のテーマは「PH試験紙は化学剤検知に使えるか?」。著者の経験と近年の事例を交えて前後編で掲載します。
文◎浜田昌彦

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