Special
三連はしご+かぎ付きはしごの
『コンビネーションラダーシステム』
[隊長]
再度火災室に進入し、再検索を実施せよ。
再度火災室の検索活動を行います。
他に要救助者がいないことを確認後、隊長の「退出せよ」の後に、地震発生の緊急地震速報の警報音と余震崩落音が鳴る。
[隊長]至急、至急!! 余震発生!!
余震がおさまった後に
[隊長]
現在、余震が発生した!!!
3番員、4番員については、1階フロアの状況評価および救助システムの再確認を実施せよ!!
1番員、2番員、大丈夫か!? 至急脱出せよ!!
[1番員]
1番員から救助隊長、
現在の余震により、重量物が倒壊、2番員が左大腿部を負傷し、自力歩行不可となった。
[隊長]
2番員が負傷した件、了解した。
応援隊の必要性はあるか!?
[1番員]
単独での救出活動を実施する。
応援隊の必要性はなし。
[隊長]
単独での救出の件了解した。
倒壊状況を確認しながら救出せよ。
火災室の検索活動終了後に、余震により重量物が落下、隊員1名が「左大腿部」を負傷し、自力歩行が不可能になりました。
防火衣背部の襟元に「取り出し口」を設定しているため、フルボディハーネスの背部D環にアクセスできます。ただいま、負傷隊員の背部D環にアクセスし、緊急脱出の準備をしております。
[1番員]
救出準備完了、周囲および退路異常なし。ロープ引け!
2番員の引きずり救助を開始
ごらんのように救出隊員の腹部D環を使用し、引きずり救助することにより救出隊員の負担軽減が図られ、また両手が使用できるため、進路の確認や障害物の除去にも対応できます。
負傷隊員を搬送中
[隊長]
引揚ポイントまで残り、5m、4m、3m、2m、1m、到着!!
負傷隊員にメインラインを設定中
負傷隊員を搬送し、引揚ポイントに到着。「フルボディハーネス」を着装しているため、新たに担架等の搬送器具を使用することなく、時間をかけずに、「引揚救助」に移行することが可能となります。
ビレイラインの設定においては、防火衣中央の胸部分に「取り出し口」を設定しているため、フルボディハーネスの胸部D環にアクセスできます。
また「取り出し口」は、マジックテープ式の蓋により、防火性能の低下を防いでおります。
負傷隊員を救出中
今回は、フルボディハーネスを使用しての「引揚救助」を実施しておりますが、バスケット担架等を使用しての垂直吊り、水平吊りにもこの「連結はしご」は対応できます。低所からの救助はもちろんのこと、高所からの救助にも対応できる救助システムであります。
負傷隊員の引き込み、救出が完了しました。救急隊に引き渡します。
1番員脱出準備
最後の隊員がフルボディハーネスに救出ロープを取り付け、不要となった誘導ロープを回収し、脱出準備を行います。
1番員脱出中
今回、防火衣メーカーの協力を得て検証を重ねている「フルボディハーネス対応型防火衣」は、様々なフルボディハーネスに対応できるよう設計されております。
また、フルボディハーネスの腰部分を防火ズボンのベルトループで固定しているため、フルボディハーネスと防火ズボンの同時着装が可能となり、災害出場時における時間短縮を可能にしました。
しかし、火災対応の装備である以上、当然、耐火・耐熱性能が求められます。今回の防火衣改良により耐火・耐熱性能が劣ることはありませんが、露出している部分のハーネスは耐火性能を有していないことから、今後はフルボディハーネス自体の耐火性能を求めていく必要があります。
隊員脱出完了、活動終了
福井市消防局では、今回の「フルボディハーネス対応型防火衣」の考案が、各種メーカーの開発および製品化の一助になればと考えております。
すべては、救助隊の助けを待っている要救助者のために…
そして、火災現場等で活動する全ての隊員のために…
以上をもちまして福井市消防局 高度救助隊の技術訓練を終了します。
【訓練のポイント】
火災対応の装備(防火衣、空気呼吸器)での立体的救助活動の実施に加え、支持点の確保が困難な状況下での救助システムの設定、さらに救助隊員が負傷するという「状況の変化」に対応した効率的な救出活動を実施する。
そのためには、特に次の2点に重点を置いた。
《フルボディハーネス対応型防火衣の試用》
火災対応の装備(防火衣、空気呼吸器)にフルボディハーネスを使用することにより、活動隊員の安全性の向上と火災現場での活動の選択肢を広げ、安全、確実、迅速な救助活動を実施する。
《コンビネーションラダーシステム(連結はしご)の開発》
支持物がない状況下で引揚救助を行うため、三連はしごとかぎ付きはしごを連結し、支持点の確保と引揚システムの設定、さらに要救助者の引き込みを安全かつ容易にした。
【考案・出場隊員】
福井市消防局
消防司令補 加美川淳平(高度救助隊)
消防司令補 木下智博(高度救助隊)
消防司令補 東山崇英(救急救命士)
消防士長 清水大史(高度救助隊)
消防副士長 島津達也(高度救助隊)
消防副士長 藤田貴旭(高度救助隊)
【使用資器材】
◎防火衣×5 ◎空気呼吸器×5(重松A1-04) ◎フルボディハーネス×5(PETZL)
◎セミスタティックロープ×4(EDELWEISS TEMP11) ◎三連はしご×1(関東はしご)
◎かぎ付きはしご×1(関東はしご) ◎テープスリング×10(120cm×9、240cm×1)
◎カラビナ×21 ◎セルフジャミングプーリー×4(PETZLプロトラクション×1、CTロールンロック×3)
◎ディッセンダー×4(PETZL ID×2、ピラナ×2) ◎プーリー×3(CMC シングル×1、ダブル×2)
◎フォールアレスター×3(CT イージームーブキット) ◎ウェビング×1(TOWA オレンジ6.0m)
◎スローウエイト(CT ファルコン350g)
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【装備概要】 フルボディハーネス対応型防火衣について