ドローン隊による災害対応訓練 Case06:豊中市消防局

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ドローン隊による災害対応訓練 Case06:豊中市消防局

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広域災害要救助者捜索訓練

【想定内容】

大規模地震により一部地域の複数建物が倒壊し、ガレキが散乱。車両が近づけない場所の要救助者検索および情報収集を行う。

【POINT】

上空約30mの高度から被災地の現状調査と情報収集、ならびに要救助者の検索を行う。

【評価方法】

区域内に設置されたターゲットを15 分以内に撮影する。また、要救助者の意識レベルを確認する想定で、ターゲット底部のランドルト環を確認する。

【使用機体】

DJI Matrice 300RTK

広域災害要救助者捜索訓練のターゲットの設置場所は合計4カ所。建物の形が残っている場所に2カ所設置している。高度30mという制限があるため、角度の付いたターゲットを撮影するためにはターゲットの周囲を広範囲で正確に飛行する技術とカメラ操作技術が問われる。建物が手前に来ている場合、写り込まないように撮影する必要がある。
広域災害要救助者捜索訓練のターゲットの設置場所は合計4カ所。建物の形が残っている場所に2カ所設置している。高度30mという制限があるため、角度の付いたターゲットを撮影するためにはターゲットの周囲を広範囲で正確に飛行する技術とカメラ操作技術が問われる。建物が手前に来ている場合、写り込まないように撮影する必要がある。
建物が倒壊している場所を想定したターゲットの1カ所。横転した自動車の内部に要救助者がいるかどうかを確認する想定。
建物が倒壊している場所を想定したターゲットの1カ所。横転した自動車の内部に要救助者がいるかどうかを確認する想定。
建物が倒壊している場所を想定したターゲットの1カ所。周りにガレキが多く、高高度からでもしっかりと要救助者の意識レベルが確認できるかをチェックする想定。
建物が倒壊している場所を想定したターゲットの1カ所。周りにガレキが多く、高高度からでもしっかりと要救助者の意識レベルが確認できるかをチェックする想定。
豊中市消防局 消防司令 矢森弘久

豊中市消防局
災害対策ドローン隊 副隊長
警防課 課長補佐
消防司令 矢森弘久

消防がドローンで情報収集と人命検索をするという目的を設定しているならば、それに即した内容の訓練を行うべきだと考え、そのような訓練を今年4月から操学舘ドローンスクールと調整し、協働で創り上げることができた。NIST sUAV-STMテストを応用した内容で操縦技術を数値で示せるのは、操縦士には非常に有意義な訓練だと感じた。

今後、この方式の訓練が全国の消防に広がっていくのではないかと思っている。今日のような制限時間内に情報収集や人命検索をする訓練以外に、2分や3分といった短時間でどれだけの情報を収集できるのかという違うタイプの訓練も企画したいと考えている。今日の訓練と前述の訓練を重ねることで操縦技術を高め、消防のドローンの使い方を追求していきたいと思っている。

東 康弘

操学舘ドローンスクール
一等無人航空機操縦士修了審査員
NIST sUAV-STM Proctor
東 康弘

私は9歳のころ、阪神・淡路大震災を経験しました。そのときのことは今でも鮮明に覚えています。当時、震源地から直線距離で10km以内に住んでいました。あのとき、消防士の方々には大変お世話になりました。今、その恩返しができればと思っています。また、阪神・淡路大震災のような大災害が発生した際には、この技術が活かされ、一人でも多くの命が救われることを願っています。
VFR株式会社 極楽地 邦夫

VFR株式会社
営業・事業開発部
極楽地 邦夫

今回、「NIST sUAV-STM」のテスト方法を応用し操学舘ドローンスクールが作成した訓練想定は、消防組織が災害現場で活動するときにどうやったらドローンを活用して情報収集ができるのかを示したものだったと思います。当社は国内外の複数機体を取り扱っていますが、販売したらそこで終わりではなく、ドローンを運用していく中でのメンテナンスと一緒に、操縦訓練を一緒に提供できるように準備をしています。当社も顧客に消防組織がいらっしゃるので、操学舘ドローンスクールに協力していただいて、消防向けの訓練メニューを提供できるように考えています。
2024年4月からドローン隊の運用を開始した豊中市消防局。二等無人航空機操縦士資格を持つ隊員が多く、ドローンスクールに協力を仰いで操縦技術を磨いている。今回、大規模災害や特殊災害の初動で情報収集にドローンを活用するために実施した訓練を取材した。
写真◎森位敦樹(特記を除く) Jレスキュー2025年1月号掲載記事

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