ドローン飛行デモンストレーション<br>Case05:にかほ市消防本部

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ドローン飛行デモンストレーション
Case05:にかほ市消防本部

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注目の「衝突しない」機能

EVO Maxは、「デュアルフィッシュアイビジョン+ミリ波レーダー」によるマルチセンサーフュージョン認識技術を搭載している。これは、720度(前後左右上下の全方位)のセンシングと自動障害物回避機能を実現できる技術だ。ミリ波レーダーは、1.27cmの物体まで認識して反応できる。

また、あらゆる環境をリアルタイムで分析して3D飛行経路を作成できるため、GPS信号のない困難な状況下でもナビゲートが可能だ。さらに、ドローンをグループ化するためのA-Mesh1.0ネットワーク(海外ではひとつのプロポで最大5機まで、国内は電波法の関係で2機まで)などの機能も持っている。

7.9インチQHDディスプレイ、125GB内蔵メモリーのリモートスマートコントローラーが操作性をサポートする。
7.9インチQHDディスプレイ、125GB内蔵メモリーのリモートスマートコントローラーが操作性をサポートする。
各種センサーにより従来型のドローンに比べて操縦が簡素化されているので、ドローンのパイロットに対する操縦技術が高度にならずに済む。
各種センサーにより従来型のドローンに比べて操縦が簡素化されているので、ドローンのパイロットに対する操縦技術が高度にならずに済む。

「EVO Max」の特徴的な機能

  • レーザー距離計・赤外線カメラ・ワイドカメラ・ズームカメラなど複数の機能を持つ高機能・高性能カメラを搭載
  • ミリ波レーダー技術による障害物回避システムと優れた飛行性能
  • ドローンが自律して飛行するプランニングにより、多種多様な検査・測量のための自律的な計画を提供
  • 周辺を飛行するドローンとの通信機能や、ドローンを中継地点として機能させるメッシュネットワーク技術、複数ドローンの同時自動飛行が可能
にかほ市消防本部 消防司令補 金子秀人

にかほ市消防本部
総務課 副主幹
消防司令補 金子秀人

主な用途は火災調査だが、最近は管内で発生した大雨による土砂災害の被害調査でも活用した。当消防本部のドローンは初期のモデルなので、次期導入を前提に最新モデルをチェックしており、今回の「EVO Max」の性能と進化に驚いている。地方の消防本部では、導入に際して価格がネックになるが、機能とバランスが良く、我々の要求に応えてくれるモデルだと思う。今回はドローン操縦が未経験の隊員も操縦を経験したが、簡単なので全く不安がない。センサーの進化により、個人が管理していた不安材料を機械がカバーしてくれるので、現場の不安を解消してくれるのもありがたい。縁があって、今回デモンストレーションを開催していただいたが、実際の火災現場での運用も含めて、リアルタイムな活動の期待が膨らんでいる。来年度の導入に向けて、準備を進めていきたい。
にかほ市消防本部 消防司令補 伊藤将康

にかほ市消防本部
にかほ消防署
消防司令補 伊藤将康

普段からドローンを運用しているが、当消防本部では災害時のリアルタイムでの運用事例がなく、火災調査や災害調査での運用に止まっている。現在運用しているドローンは提供された機体で、そろそろ消防本部としてのドローン運用の方向性を探りつつ、実質的な機種の選定を行っていたところだ。それを前提に、今回のデモンストレーションを実施したが、県内で抱えている課題、例えば熊の被害だったり、人員が少ない中での効率的な運用だったりと、理想的な形で欲しい機能がパッケージされているので、導入した後の運用の形がすぐにイメージできた。今回のデモで使用したワンセットを現場に持って行けば、ドローンを使った現場指揮本部の構築や消防本部との情報共有も可能なので、すぐにでも現場に導入できると感じた。
VFR株式会社 川崎直人

VFR株式会社
営業・事業開発部
川崎直人

私の担当エリアは東日本(関東、東北、北海道)と沖縄で、すでに多くの消防本部さんでデモンストレーションを実施してきました。地域特性もあり「この機能はこんな時に使える」など、現場の声が気づきになることも多く、回を重ねる度に勉強の機会を与えていただいています。今回使用したEVO Maxは、昨年末にメーカーの販売が始まり、今年から当社が販売権を得て国内で販売をスタートしました。その前も他の機体に関わってきましたが、EVO Maxの性能進化には驚いています。とくに、ターゲットを絞って機能を特化しているので、消防の現場で有効な機能が標準で装備されています。ソフトウェアのバージョンアップも頻繁に行われていて、先般では炎と煙のAI識別機能が追加され、より消防の現場での運用にフィットした機体となりました。すでに導入が決まった消防本部もあり、進行中の事案も多くあります。さらにデモンストレーションの機会を増やして、普及に努めたいと考えています。
今回は秋田県のにかほ市消防本部において開催されたVFR社によるドローンの飛行デモンストレーションの様子をレポートする。使用されたのは、次世代型ドローンと噂が高い「EVO Max」。消防本部の担当者や現場で運用しているドローンパイロット、またVFR社営業担当者のコメントから、その可能性を探る。
写真・文◎小貝哲夫 Jレスキュー2024年11月号掲載記事

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