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『高規格現場指揮車両』in カリフォルニア
本場アメリカのインシデント・コマンド・システムを車両から見る
写真・文◎五十嵐仁
北カリフォルニア機動災害初動統括合同演習管理委員会委員
千葉科学大学大学院危機管理学研究科博士後期課程
メール:emergency_management360@cemij.org
現場指揮本部機能の高度化=指揮体制の自己完結
米国カリフォルニア州では、機動災害対策本部車両による現場総合指揮訓練が開催されており、2019年4月にはサンフランシスコ・ジャイアンツのホームグラウンド前で開催された。イベントには災害初動を担う警察、消防、州政府と指定公共機関、救助犬や動物レスキューに携わるNPO団体など、計29の機関が参加した。
カリフォルニア州は、地震、山火事等の大規模災害に度々見舞われてきた。その際の苦い教訓を活かし、多種多様化する災害に対して「初動」を的確に行うため、インシデント・コマンド・システムの規定に沿ったレスポンス体系を構築している。その要となるのが、多機関連携における指揮命令系統を一元化するプラットフォームとなる「災害対策本部」機能を現場へ持ち込む機動(モバイル)指揮本部であり、その象徴が、この訓練会場に集結している『高規格現場指揮車両(機動災害対策本部車)』である。これらの車両は情報分析機能の高度化が進んでおり、指揮統制機能を車両内で自己完結させた完全自立型である。大型車両を自由な発想の下で特装したアメリカならではのモバイル・インシデント・コマンド・カーの数々を紹介しよう。