二つの土砂災害機動部隊が地域を守る<br>横須賀市消防局 土砂災害対応連携訓練

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二つの土砂災害機動部隊が地域を守る
横須賀市消防局 土砂災害対応連携訓練

令和7年9月23日、横須賀市消防局は横須賀市消防総合訓練センターにおいて横須賀市消防局と横須賀市消防団の土砂災害対応連携訓練を実施した。

写真・文◎小貝哲夫

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横須賀市消防局 土砂災害対応連携訓練
全国的にも珍しい横須賀市消防局と横須賀市消防団からなる2隊のLTF。互いに連携を取りながら、地域の安心・安全を守っている。
消防局と消防団、二つの土砂災害機動部隊が地域を守る

令和7年9月23日、横須賀市消防局は横須賀市消防総合訓練センターにおいて横須賀市消防局と横須賀市消防団の土砂災害対応連携訓練を実施した。

横須賀市消防局は令和5年に消防局土砂災害機動部隊(消防局LTF※)を発足させ、隣接する逗子市で発生した土砂災害や能登半島地震へ緊急消防援助隊として派遣され2台の重機を活用した救助活動の実績がある。※LTF:Landslide(土砂) Task Force(機動部隊)の略

横須賀市のユニークなポイントは、消防局(消防局LTF)と消防団(消防団LTF)がそれぞれ重機を保有、土砂災害機動部隊として連携する体制で、気象変動により災害が激甚化の一途をたどり、局所的な災害が増加している昨今、全国的にも珍しい土砂災害対応システムと言える。

発足以来2隊の合同訓練や隊ごとの訓練等を重ね、今回はその訓練成果が披露された。当日は横須賀市長をはじめ、市議会議長、副議長、市議会議員ほか、県下消防本部なども視察に訪れた。

横須賀市消防局 土砂災害対応連携訓練
ホワイトを基調にした横須賀市消防局LTFのベスト。
横須賀市消防局 土砂災害対応連携訓練
横須賀市消防局LTFのワッペン。
横須賀市消防局 土砂災害対応連携訓練
ブルーは横須賀市消防団LTFのベスト。
横須賀市消防局 土砂災害対応連携訓練
横須賀市消防団LTFのワッペン。
すべては1台のバックホウから始まった

令和2年2月5日に逗子市で発生した道路脇の土砂崩落により不幸な災害が発生した。この災害を受け、宇内消防団長が土砂災害の迅速な対応の大切さを認識し、令和2年11月に宇内建設株式会社を通じ消防局へバックホウ1台を寄付した。翌令和3年7月にも、同社からホイールローダー1台が寄贈された。これを受け令和5年4月、横須賀市南消防署浦賀出張所に消防局土砂災害機動部隊(消防局LTF)を発足、同年12月には運用を開始した。

さらに連携は強化される。令和6年11月に宇内建設株式会社と横須賀市は「災害時における重機・資機材の借用に関する協定」を締結、消防団の重機有資格者を中心に消防団土砂災害機動部隊(消防団LTF)を発足、令和7年4月に運用を開始した。

日頃、建築業に携わる消防団員を中心に編成されている消防団LTFの隊員は約30名。消防局LTFとの訓練を積み重ね、消防力を結集して、土砂災害から市民の命と暮らしを守っている。

消防局と消防団が見事な連携で救助活動を展開した今回の訓練は、普段は各自の仕事を持ちながら、災害が発生すれば昼夜を問わず現場に駆けつけあらゆる事例に対応する消防団員の気概が遺憾なく発揮された。地域に暮らし、地域の事情に精通し、日頃から警戒活動にも従事している消防団の活動は、地元を愛する強い気持ちに支えられている。

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横須賀市消防局と横須賀市消防団との連携訓練開始!