
Report
―アメリカ民間救助事情―
カヌーが紡ぐ命の連携
国や自治体との連携
以前は、民間からの協力が拒否される状況であったが、現在では消防署がこれらのNPOに支援を要請するほど認知され、連携が進んでいる。
大規模災害が発生すると、民間組織は緊急事態対策室(EOC)内またはその近くに人員を配置し、直ちに現場へ出動できるよう準備を整える。公的機関が日没後に活動を制限される場合でも、民間組織は臨機応変な対応力と柔軟性を持ち、活動を継続することが可能だ。さらに、「クラウドソース・レスキュー」のようなマッチングアプリを活用し、X(旧Twitter)などのSNSで助けを求める被災者と救助者を繋ぐことで、効率的な情報共有と救助活動を実現している。

広がる活動範囲と組織の実態
民間救助組織「ケイジャン・ネイビー」は、ハリケーン・ハービー以降、バイオハザード(塩素ガス漏れや人食いバクテリア)が発生した水害、新型コロナウイルス禍での医療物資供給(高齢者や免疫不全者への配慮を含む)、ヒューストンでの大寒波によるライフライン断絶、内陸部のノースカロライナ州を襲ったハリケーンなど、多岐にわたる災害に対応している。
PTSDへの向き合い
ポール氏は長年、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の研究も続けている。アメリカでは長らく認識が遅れていたが、2017年には地元のセラピストと協力してグループセラピーを行っている。
このような官民の協働は、災害対応に新たな可能性を開くものとして、今後さらなる発展が期待されている。

