ショアリング技術を高めた<br>埼玉県第4ブロック 緊急消防援助隊合同訓練

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ショアリング技術を高めた
埼玉県第4ブロック 緊急消防援助隊合同訓練

2024年(令和6年)11月20日、埼玉県幸手市権現堂4号公園駐車場および幸手市北公民館において「令和6年度埼玉県第4ブロック 緊急消防援助隊合同訓練」が実施された。

写真◎澤田美織子(特記を除く)

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本訓練は、緊急消防援助隊【埼玉県大隊】出動時に、(埼玉県内)第4ブロック中隊の迅速な参集体制の確立と連携活動能力の向上を目的に実施されたもので、毎年実施されている。

埼玉県第4ブロック 緊急消防援助隊合同訓練
埼玉県第4ブロック消防(局)本部から派遣された緊急消防援助隊第一次出動陸上隊の消火、救助、後方支援小隊の各隊員。(救急小隊を除く)(写真提供/埼玉東部消防組合消防局)
埼玉県第4ブロック全8消防(局)本部

・越谷市消防局
・羽生市消防本部
・草加八潮消防局
・春日部市消防本部
・蓮田市消防本部
・三郷市消防本部
・埼玉東部消防組合消防局(幹事消防本部)
・吉川松伏消防組合消防本部

訓練は2日間にわたって行われ、1日目は災害を覚知し出動するまでの情報伝達訓練を、2日目は同災害の出動後を切り離した任務別実動訓練とし、集結場所への参集訓練や、消火小隊と救助小隊による災害想定訓練、後方支援小隊の給食・宿営訓練が行われた。

訓練想定は、災害名「X県北部地震」とし、令和6年11月19日(火)8時30分頃、大規模な地震(震度6強)によりX県内において甚大な被害が発生し、迅速出動区分Ⅱを適用、消防庁長官が埼玉県知事に対し、緊急消防援助隊の出動を求めた。埼玉県統合機動部隊は、X県Y市内にて活動中であり、後着の埼玉県大隊は、集結完了したブロックごとに進出拠点へ向け出動し、活動を展開するというものである。

今年度の重点項目は、
・応援計画に基づく指揮体制の確立
・災害事例想定における各消防(局)本部との相互協力および連携活動
・二次災害を踏まえた安全管理の徹底
・災害事例として倒壊建物安定化
・道路啓開
・屋内就寝エリアの感染・汚破損対策
であった。

訓練の企画調整を担当した埼玉東部消防組合消防局消防課の齋藤高史消防司令は、
「SNSや各メディアなどの情報も踏まえ、今後の緊急消防援助隊派遣先での活動にあたり、消火や救助などの各小隊別役割に固執することなく、被災現場や車載資機材にあるものから自調自考してもらいたかった。
訓練という意識付けを低くし、あえて休憩を指定せず昼食時間も各々で調整させる長時間活動型訓練のなかで、各消防(局)本部が目的を十分に理解し、与えられた役割分担を創意工夫により実践できたことは非常に効果があったものと感じている。
今後も、継続した訓練を通して知識や技術の共有を図り、被災者目線に寄り添った活動が出来るよう尽力していきたい」
と話した。

埼玉県第4ブロック 緊急消防援助隊合同訓練
倒壊建物の状況から、ブリーフィングを行い、救出方法の確認を行う隊員たち。この場所には3名の要救助者が取り残されていた。(写真提供/埼玉東部消防組合消防局)
埼玉県第4ブロック 緊急消防援助隊合同訓練
座屈建物内での救出には、クリビングだけではなく、ショアリングの技術も必要とされた。ドア・ショア、Tポスト・ショア、2ポスト・ショア、スロープド・フロア・ショアによる安定化を図り、1名の要救助者を救出した。
埼玉県第4ブロック 緊急消防援助隊合同訓練
ショアリングでは、消火小隊が積極的にカッティングや釘打ちを実施していた。(写真提供/埼玉東部消防組合消防局)
埼玉県第4ブロック 緊急消防援助隊合同訓練
座屈建物に挟まれた要救助者の上には、1台の車両が乗り上げ、救出を阻んでいた。二次災害を考え慎重に安全管理を図りつつ、救助活動を実施している姿が印象的だった。(写真提供/埼玉東部消防組合消防局)

訓練の続きは「Jレスキュー2025年3月号」でレポートします。

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2024年(令和6年)11月20日、埼玉県幸手市権現堂4号公園駐車場および幸手市北公民館において「令和6年度埼玉県第4ブロック 緊急消防援助隊合同訓練」が実施された。
写真◎澤田美織子(特記を除く)

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