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令和7年度 緊急消防援助隊埼玉県
土砂・風水害機動支援部隊合同訓練
2025年10月9日、10日の2日間、埼玉県宮代町の日本工業大学多目的運動広場などを会場に、「令和7年度 緊急消防援助隊埼玉県 土砂・風水害機動支援部隊合同訓練」が行われた。
写真◎編集部
激甚化する風水害に備え埼玉が挑む「実戦型」広域合同訓練
難度MAXの現場を想定
2025年10月9日、10日の2日間、埼玉県宮代町の日本工業大学多目的運動広場などを会場に、「令和7年度 緊急消防援助隊埼玉県 土砂・風水害機動支援部隊合同訓練」が行われた。
訓練には、さいたま市消防局(訓練事務局)、上尾市消防本部、深谷市消防本部、そして開催地である埼玉東部消防組合消防局が参加。複数消防本部が連携し、広域災害対応能力の向上を図った。
近年、局地的豪雨や台風に伴う大雨により、浸水被害や中小河川の氾濫、土砂災害が全国的に多発している。被害は大規模化・激甚化の傾向にあり、風水害への備えは急務だ。
こうした状況を受け、重機や水陸両用車などの特殊車両を備えた「土砂・風水害機動支援部隊」が創設され、埼玉県では令和元年6月1日より運用を開始している。
本部隊は、埼玉県が編成する中で唯一「複数消防本部(局)」で構成される部隊である。隊員が一堂に会し、救助手法や連携体制の認識を統一することで、いずれ必ず発生する大規模災害に備えることが訓練の主な目的である。
今回は6回目の実施となり、令和6年9月に発生した「奥能登豪雨」での実活動を踏まえ、部隊訓練として初となる「風水害」を想定。
ドローンやウェーダー、救命ボートに加え、小型水陸両用車・小型救助車など多様な資機材を活用し、複雑化する災害環境に応じた体制構築を目指した。
主な訓練内容は「部隊集結訓練」。被災地へ向かう前段階として、集結地で各部隊の状況を把握し、行動を統一するための訓練を実施。「土砂埋没救助訓練」避難中の車両が災害に巻き込まれ、1台が土砂・流木に埋没したとの想定。重機と隊員の連携で救出を図った。
県内初となる「浸水域救助訓練」は、河川氾濫により家屋倒壊・流出・埋没、さらに浸水被害が広範囲におよぶ状況を想定し、水上・水際での救助活動を展開。本部隊として「浸水域救助」を扱うのは初めてであり、土砂災害対応と同一現場で同時進行するのも新たな試みとなった。
多発・激甚化する風水害に向き合うため、埼玉県の土砂・風水害機動支援部隊はさらなる実効性の高い体制づくりを進めている。今回の訓練は、現場で即応できる確かな力を磨く重要な機会となった。
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被災地域で土砂・風水害機動支援部隊活動開始!