Report
東京消防庁の総力を結集した航空機事故訓練!
過去最大規模の1000人超が参加
東京国際空港緊急計画連絡協議会では、今年1月に発生した航空機同士の衝突事故を受け、羽田空港にて10月24日、旅客機が炎上して多数の負傷者が出たという想定で大規模な訓練を実施した。
写真・文◎伊藤久巳
1月の航空機衝突事故を教訓に
乗員・乗客役には想定をブラインドに
東京国際空港緊急計画連絡協議会は2024年(令和6年)10月24日、羽田空港で航空機事故消火救難総合訓練を実施した。この訓練は同競技会が多数の関係機関と連携し、実際の機体を用いて毎年実施している。
だが、今回はとくに、令和6年1月2日に発生した羽田空港航空機衝突事故を振り返った結果をもとに、羽田空港における消火救難、医療救護体制のより一層の充実強化を目的としたものとして意義深い。
参加機関は国土交通省東京航空局、東京消防庁、警視庁、医師会、東京DMAT、航空会社、空港内事業者など96機関となり、人員1024名、車両153台(空港用化学消防車、医療用搬送車、東京消防庁消防車両、ドクターカーなど)、航空機1機(東京消防庁)という大規模なものとなった。
訓練は、羽田航空2024便が羽田空港B滑走路に着陸した際、接地帯よりも手前に機体の一部が接触し、その衝撃により車輪の一部が破壊されて滑走路を逸脱して停止、第1エンジンから火災が発生し機体が炎上、多数の負傷者が発生したとの想定で実施した。
訓練の重点項目として、
・各機関の指揮所間の連携
・医療救護活動における傷病者の管理
・現地合同対策本部内の連携と情報共有
が設定された。
とくに、先般の航空機衝突事故災害では傷者の人数把握に時間を要したことから、乗客、乗員数182名についてはブラインド訓練とされ、本部指揮所が航空会社から聴取した乗客、乗員数と、傷病者の搬送人数と避難誘導した無傷者の合計が合致した段階で訓練終了となった。
訓練終了後、松岡慎司東京空港事務所長は、「今年発生した事故では、参集と各機関間の情報共有が課題として挙がったことから、今日は参加機関が同じ無線周波数を使用し、その点を検証した。事故は起きないことが一番だが、万が一起きた場合でもしっかりと対応していきたい」と総括した。
次のページ:
機内から負傷者の救出を開始する