全国救護活動研究会が医療団「ARROWS」と連携開始<br>「民間救助隊」の実現へ

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全国救護活動研究会が医療団「ARROWS」と連携開始
「民間救助隊」の実現へ

消防士を対象にしたトレーニング「CSRMベーシックコース」を行っている全国救護活動研究会が認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンの運営する緊急災害支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団 “ARROWS”」と連携を開始し、「民間救助隊」の創設へ向けて一歩を踏み出した。今回、ARROWSメンバーが多く参加し、2日間をかけて行われたCSRMベーシックコースに密着した。

写真・文◎伊藤久巳

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第68回目を数えるCSRMベーシックコース

特定非営利活動法人「全国救護活動研究会」は9月7・8日の2日間、東京都あきる野市に所在する東京訓練場で「第68回CSRMベーシックコース」を開催した。

全国救護活動研究会の八櫛徳二郎代表は令和5年、日本の消防の発展のため、また救命率向上のため、これまで勤続してきた東京消防庁を退職。防災減災クリエーターとして研究会に専念することになった。

今回のCSRMベーシックコースは、大規模災害の被災地にいち早く駆け付けて救助、救命活動を行う「空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”」のメンバーが多く参加した。ARROWSは医療関係者や救助犬チームなどが集い、医療を軸とした災害緊急支援プロジェクトを展開し、近年の国内で発生した大規模災害にほぼすべて出動している。八櫛代表が令和6年能登半島地震災害でARROWSの活動を支援したことから全国救護活動研究会との連携が本格化し、八櫛代表は元消防士の立場から今後ARROWSのアドバイザーとしても活動することになった。

そのため、これまでは1日間で実施してきたCSRMベーシックコースを今回は2日間に拡大し、参加者をこれまでの倍となる受講者64名、スタッフ40名、総勢約100名で実施した。

また、参加したARROWSのメンバーは全員がARROWS USAR準備チームだった。USARとは「災害被災地支援救助チーム」のこと。ARROWSが全国救護活動研究会と連携したことから、ARROWSに民間救助隊USARを創設する道筋が現実的なものとなった。

全国救護活動研究会 CSRMベーシックコース
医療関係者などから構成されたARROWS USAR準備チームが参加したことにより、総勢80名の受講者が集った「第68回CSRMベーシックコース」。
全国救護活動研究会 CSRMベーシックコース
スキルステーションの狭隘訓練活動では高低差のあるがけにブルーシートを張った現場も活用される。
全国救護活動研究会 CSRMベーシックコース
ARROWSロスター(登録隊員)の災害救助犬ハンドラーであり医師がスキルステーションのスケッド取り扱い訓練を実施する。
全国救護活動研究会 CSRMベーシックコース
スキルステーションの指揮進入活動。小隊ごとに指揮者と進入管理者を分け、進入隊員を狭隘空間に投入する。
全国救護活動研究会 CSRMベーシックコース
スキルステーションと同様、シナリオステーションでも訓練場のさまざまな施設が狭隘空間として使用される。
八櫛徳二郎さん

八櫛徳二郎さん特定非営利活動法人 全国救護活動研究会 代表 救急救命士

東京消防庁在籍時代にはハイパーレスキューなどに所属する一方で、震災救助におけるCSRMについて研究を行って救命率の向上に尽力。また、庁内では多くの研究成果を発表し、放射線災害対応システムを一新(東日本大震災の際、福島第一原発事故の対応でその効果を証明)、倒壊建物訓練施設「パネルビルドシステム」やフルハーネス一体型空気呼吸器などを発明し、消防庁長官賞を受賞した。平成18年には渡米し、FEMA主syuusei催のCSRM研修を修了。
在籍中の平成20年には全国救護活動研究会の名で現団体を正式に発足させ、平成28年には同団体をNPO法人化。令和5年東京消防庁退職後は全国救護活動研究会のほかにも消防関係に改良した資機材を提供する一般社団法人消防救助技術開発、市民の減災防災を推進する一般社団法人西多摩減災防災ネットワークなどいくつかの一般社団法人を立ち上げている。ARROWSアドバイザー。

消防士を対象にしたトレーニング「CSRMベーシックコース」を行っている全国救護活動研究会が認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンの運営する緊急災害支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団 “ARROWS”」と連携を開始し、「民間救助隊」の創設へ向けて一歩を踏み出した。今回、ARROWSメンバーが多く参加し、2日間をかけて行われたCSRMベーシックコースに密着した。
写真・文◎伊藤久巳

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