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【コラム】元東京消防庁レスキュー隊員が見た
災害ノンフィクション本

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救助活動の日々を克明に綴った回想録

——再出版にあたり初版から加筆・変更した部分はありますか?

「当時……今もですが、稚拙な表現と言い回しには私自身が辟易するところもあり、今回再出版するにあたり、表現を少しばかり訂正したことで以前よりも読みやすくなっていると思います。

また、ひとつだけ新しいエピソードを追加しました。もっと多くの経験を思い出すことができればいいのですが、これもまた記憶の不思議なところで、似たような二次的経験はまったく思い出せず、当初から記憶が蘇ってくるものはすべて初めての経験だけでした。火災ひとつとっても、何らかの特殊なことがなければ思い出せないのです。

その記憶の破片のひとつ、例えば…火災、高田馬場で発生した住宅火災、我々は焼死体のニオイを感知したことで、鎮圧後に大検索が始まりました。炭化しボロボロになった床に埋まるようにして発見されたのが黒焦げになった遺体です。その時に無線から聞こえてきたのが地震に関する神戸の消防無線でした。阪神・淡路大震災の第一報です。このような異例のことがあったのでこの部分だけは私の記憶に残っていますが、ひとつのエピソードとして記載するには短すぎますね。

当時この本を手にできなかった方々、また消防という仕事に興味のある方々、再出版を機にさらに多くの読者の皆様に、災害に対する『消防活動の瞬間』をお届けできれば幸いです。なお私は現在、小説家として執筆活動をしています。いわゆる文芸作家ですが、起きた出来事をそのまま正確に書き上げるノンフィクションに対し、すべての辻褄を合わせつつ驚きと感動を表現するフィクションを考えることの面白さと難しさにチャレンジしています。

私の著書の『咲いて散らすな、オレンジの花』、そして小説『醜貌のインナーサイド』『オリーブが結ぶ祈りの実』『九月十三日の煩悶』『君、恋し』『誰もいない森の巨木が倒れるとき、音はするのだろうか?』はすべてアマゾンで購入できますので、よろしくお願いいたします」

Profile

茂 清博

茂 清博Shigeru Seihaku

1967年 富山県八尾町に生まれる
1989年 亜細亜大学法学部卒業
2008年 「咲いて散らすな、オレンジの花」文芸社
2021年 「醜貌のインナーサイド」はるかぜ書房
2021年 「オリープが結ぶ祈りの実」アメージング出版
2022年 「九月十三日の煩悶」となみ野そうぞう Studio
2024年 「君、恋し」文芸社
2024年 「誰もいない森の巨木が倒れるとき、音はするのだろうか?」となみ野そうぞうStudio
2024年 「咲いて散らすな、オレンジの花(改訂版)」となみ野そうぞうStudio

今回は、Jレスキュー編集部がおススメしたい消防関連本を紹介。元東京消防庁特別消防隊員が新宿消防署勤務時代の経験と出来事を災害ノンフィクションとしてまとめた『咲いて散らすな、オレンジの花』。プレミア本として再出版された本書を作者のインタビューとあわせて紹介します。

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