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【コラム】元東京消防庁レスキュー隊員が見た
災害ノンフィクション本
今回は、Jレスキュー編集部がおススメしたい消防関連本を紹介。元東京消防庁特別消防隊員が新宿消防署勤務時代の経験と出来事を災害ノンフィクションとしてまとめた『咲いて散らすな、オレンジの花』。プレミア本として再出版された本書を作者のインタビューとあわせて紹介します。

発行/Amazonオンデマンド
体裁/四六判・286頁
価格/1540円(税込)
発行日/令和6年10月19日
プレミア本が再出版!
——「咲いて散らすな、オレンジの花」という本を執筆された経緯から教えていただけますでしょうか?
「まずはご挨拶から。皆さんこんにちは、私は茂清博と申します。この度、私の著書『咲いて散らすな、オレンジの花』を再出版することとなり、この『Jレスキュー』にてご紹介いただけることを大変光栄に思います。本書は2008年11月に文芸社から発表されました。わずか1000部の発行にもかかわらず、本の貸し借りを通じて多くの方々に読まれ続けてきたことを、とても感慨深く思っています。発刊当初から手に入れにくかったようですが、現在でも中古本が高値で取引されていることから、皆様のご支持を感じ、大変感謝しております。
本書は、私が東京消防庁に勤務していたわずか8年弱の間で経験した災害活動について、私の五感で捉えた出来事をできるだけそのままの形で表現したものです。私の経験が本になるまでに退職からおよそ10年経っています。記憶というのは不思議なもので、当時の出来事の一部分が頭に浮かぶとその前後まではっきりと蘇ってきました。しかも10年越しにです。このエピソードを時系列につなぎ合わせたものが『咲いて散らすな、オレンジの花』となった訳です。
当時、SNSで有名なサイトがあり、私はそのサイトでかつての仲間たちを探していました。しかしながら彼らがSNSをしている形跡はまったく発見できず、その代わりに地方の消防官たちの投稿が驚くほどたくさんありました。消防に関するコミュニティも多数存在し、私はその中の消防官だけが参加できるコミュニティを選んで、自分が対応した現場エピソードをいくつか投稿しました。これに対してコミュニティメンバーたちから大きなリアクションがあったことを覚えています。つまり、エピソードが本物か偽物かということで論議が巻き起こった訳です。
また、『仕事上で知り得た情報』に関する秘密保持義務違反だという書き込みも多数受けました。当時はまだ珍しかった〝ネット上の炎上〟というやつです。公務員の守秘義務は、すでに報道されている災害に関してはまったく当たらないものの、こうした炎上状態を不快に思ったコミュニティの管理者によって私の投稿すべてとアカウントが削除されました。
その後、私は自分のコミュニティを作り、以前投稿したエピソードを再投稿したところ、沖縄と宮城の消防官たちからもっと話を聞かせてほしいというリクエストを頂き、必死になってひとつひとつ思い出していったのです。これは経験してきた実数のうちのごくわずかなエピソードだけですが、それらを詳細に思い出せたことに自分自身が驚きました。これらの投稿を見つけた文芸社から声がかかり、出版となりました」

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執筆エピソードについて