消防ポンプ自動車CD-I型 鳥取県東部広域行政管理組合消防局

日本の消防車両

消防ポンプ自動車CD-I型 鳥取県東部広域行政管理組合消防局

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若手機関員にも親しみやすい車両に

鳥取県東部消防局でも機関員の若返りが進んでおり、目指したのが「使いやすい車両」だ。

ポンプ操作にはタッチパネル式の「GVタッチモニター」を搭載し、放水を一括管理できるようにした。また水槽の残量がわかりやすいようアナログ水量計をシャッター外に設置しているが、ポンプ操作盤から離れられない機関員のために、デジタル水量計も操作盤内に設置されている。

ただ、日野デュトロには4輪駆動のAT車がラインナップされておらず、AT車の希望はあったが操作はMT。「そこは若手にも乗り越えてほしい壁だ」と田中消防司令補は語る。

そして同車で見逃せないのが、ルーフからアオリ部にかけての流線形のフォルム。翼のようなハイルーフにあわせて自らアオリ部をデザインし、風をきるようなスピード感を表現した。さらにオールシャッターとすることでデザインの自由度が高まった側面には、管内に広がる鳥取砂丘の風紋と鳥の羽ばたきをイメージしたマーキングを取りいれた。こうした斬新な車両デザインも、実は同本部ではこれが初めてだ。車両各部に貼りつけられた再帰性に富んだ反射材は赤色として、デザインに統一感をもたらしている。

外観から中身にわたって機動力を高めた同車で、今後も街を守っていく。

左側面
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アナログ水量計は左右側面に設置。双方向引き出し式吸管を同本部初装備し、部署位置の選定に困ることはなく、省スペース化にも寄与している。
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「せっかくのタンク水は有意義に使いたい」と、左側積水口近くに活動後の手洗い、資機材洗浄用のタンク水取り出し口を2口設置。使用時は蛇口を延長する。
リア
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ホースカーを取り出して開放できるリアシャッター内には、ホース、予備ボンベ、小型動力ポンプ(C級)が積載されている。側面に作業灯も設置し安全に配慮した。
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二重巻ホースは横置きと縦置きを組みあわせてより取り出しやすいように積載。
キャブ
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オーバーヘッドに10連スイッチとサイレンアンプを設置し、若手機関員の運転しやすさを考慮してAT車を採用したかったが、日野デュトロの4輪駆動車では設定がMT車しかなかった。
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ハイルーフの採用により、頭上スペースははるかに広がった。これまで後部座席バーや座席下に収納していた小物類をまとめて頭上に収納したので、後部座席内はすっきり整理整頓できる。
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収納スペースは落下防止用ネットを取りつけ、PA連携時の救急支援バッグやトラメガなど、現着後すぐに使用する小物類をどんどん収納できる。
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後部座席上部も小物入れとしている。
ルーフ
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ルーフデッキは資機材を積載できるほか、車上での活動にも使うことができる(荷重約200kg)。
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はしご昇降装置は、三連はしごの下に小型動力ポンプ用棒吸管を収納。すぐ横に2線吸水とする場合に使う予備吸管を積載している。
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昇降はしごがリアのみになったので、車上に積載する資機材はすぐに使わないものを厳選。五角形に成形された車上アルミボックスに、分離型バスケットストレッチャーなどを収納している。
運用部隊 湖山消防署消防隊
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(左から)消防司令補・前田博志、消防副士長・谷口晃太、消防司令補・福本正博、消防士・五利江力。(取材当時)
五面図
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装備担当者

装備担当者鳥取消防署 高度救助隊 消防司令補 田中 淳(取材当時)

同車は消防総務課管理係として担当した4台目のポンプ車。「何台かの消防車両作成を経て、最後にやれることをやろう、とタンクの導入を実現できた」

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【SPECIFICATIONS】

車名:日野
通称名:デュトロ
シャーシ型式:TKG-XZU685M
全長:6050mm
全幅:1920mm
全高:3020mm
ホイルベース:2800mm
最小回転半径:6.0mm
車両総重量:6845kg
乗車定員:5名
原動機型式:N04C
総排気量:4009cc
駆動方式:4×4
ポンプ:A-2級
ホースカー:手引き
水槽容量:800L
配備年月日:平成30年2月8日
艤装メーカー:吉谷機械製作所

鳥取県東部広域行政管理組合消防局 湖山消防署(鳥取県)
写真◎中井俊治 「日本の消防車2019」掲載記事 

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