高性能救助車「ウニモグ」 静岡県警察本部

日本の消防車両

高性能救助車「ウニモグ」 静岡県警察本部

ウニモグでなければ走破できない悪路が災害現場にはある

写真・文◎伊藤久巳
「日本の消防車2021」掲載記事

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警察のレスキュー部隊が備える車両の数々

静岡県警察本部では警備部機動隊に、レスキュー部隊「広域緊急援助隊特別救助班、広域緊急援助隊」が運用する災害対策車両として、令和元年度に高性能救助車「ウニモグ」、多目的災害対策車「ジムニー」、水陸両用車「アーゴ」を配備した。

静岡県警機動隊レスキュー部隊では災害対策車両として、レスキュー車「救助工作車」2台、災害活動用高床バン型車「ランドクルーザー」1台、緊急出動用災害対策車「活動支援車」1台、高性能救助車「ウニモグ」2台、資材車2台、バックホウ「小型車両系建設機械」1台、バックホウ運搬車1台を運用してきたが、今回の配備によって高性能救助車が更新されたほか、多目的災害対策車「ジムニー」、水陸両用車「アーゴ」、水陸両用車運搬車各1台が加わった。

高性能救助車
車体前面。ウニモグの伝統でもある精悍なフロントマスク。高い最低地上高の様子がよくわかる。フロントの短いオーバーハングをさらに活かすため、バンパーも高い位置にある。

静岡県警機動隊レスキュー部隊ではかねてから高性能救助車「ウニモグ」を運用してきたが、今回はその更新として2020年(令和2年)3月に配備された。浸水地域における被災者の救出救助、部隊輸送などに使用される。

ドイツのメルセデス・ベンツ社が製造するウニモグは、卓越した剛性を誇るはしご型メインフレームと前後それぞれが独立して最大30度までスイングする車軸、高い衝撃吸収性、高い最低地上高、前後の短いオーバーハング、4輪シングルタイヤにより、冠水したり泥に覆われた路面、がれきが散在する路面、急斜面、不整地などでも走破し、現場との間で人員や資機材、物資などの搬送を可能にする車両。シャーシは最大定員7名のダブルキャブが選択可能なことから、以前から警察車両、消防車両として重用されてきた。国産の4WD救助工作車の普及によって近年では消防本部への配備が激減したものの、豪雨や強風時などでヘリコプターによる活動が困難な場合、冠水、倒木などで車両や重機が進入不能な場合でも、ウニモグだけが進入できるケースが間違いなくあり、警察庁では、全国の機動隊レスキュー部隊に配備を続けている。

今回の更新車両はヨーロッパの最新排気ガス基準「ユーロ6」に適合した最新モデルで、世界で最も厳しいと言われる日本の平成28年排出ガス規制もクリアする。新設計による次世代型エンジンは尿素触媒に加え新たに排ガス再循環装置を搭載し、エンジン出力や燃費効率、環境性能などのすべてを向上させている。

高性能救助車
静岡県警機動隊レスキュー部隊に令和2年3月に配備された高性能救助車。メルセデス・ベンツ製「ウニモグ」で、登坂能力は最大45度、左右傾斜は最大38度、水深走行は最大1.2mまで可能。
高性能救助車
車体左側面。前後ともオーバーハングが非常に短く、起伏の激しい路面の走行を可能にする。最大高さ0.46mの障害物を跨いでの走行が可能。前席のシートを前軸の後方へ設置するため、運転席を含めて動揺が少ない。圧倒的な低重心が悪路での安定走行に寄与している。
高性能救助車
車体後面。高い最低地上高としたことにより、荷台の高さはそれなりに高い。
高性能救助車
エンジンからの排気管の先端は地上高3m以上の場所にあり、最大1.2mの水中走行を可能にする。尿素触媒、排ガス再循環装置により平成28年排出ガス規制をクリアしている。

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後方・車内など

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