化学消防ポンプ自動車Ⅱ型<br>渋川広域消防本部

日本の消防車両

化学消防ポンプ自動車Ⅱ型
渋川広域消防本部

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ミスト放水が安全性と消火効率を向上
新兵器フォグネイルノズル

昨今の耐火構造の建物の増加や、一般木造住宅でも「高気密・高断熱」の住宅が増えてきたことを受け、消火・救助事案において屋内へ進入するケースが増加し、それに伴い隊員に危険が及ぶケースが増えている。また有効ではない大量放水による水損や放水圧による破壊で原因調査に影響が生じることも懸念された。そんな課題を解決する新兵器として、「隊員の安全と消火効率の向上」を目的に渋川広域消防本部が導入した新兵器が、横井製作所が販売しているフォグネイルノズルだ。

フォグネイルノズルは、外部から屋内へ、少流量のミスト放水を行う資機材。密閉された建物に対し、初期の段階で使用できれば室内温度を急激に下げられ、進入隊員の経路を確保でき、また逃げ遅れた人への火災救助活動を安全に実施できる。車両火災や残火処理にも大きな効果が期待される。

化学消防ポンプ自動車Ⅱ型 渋川広域消防本部
毎分70Lのミスト放水が消火戦術を変える!!
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フォグネイルはストレート放水の「ナロー(アタック)」と、ワイド放水の「ディフェンス」の2通りの放水パターンを、火災の状況によって2本のノズルで使い分ける(専用ハンマーが付属)。通常の消火活動にはナローを使用する。
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火炎に対して水の幕を張って隊員自身を防御する豪快なワイド放水。
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密閉空間内に放水する場合はまず専用ハンマーの突起部で貫通させる。
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貫通穴にフォグネイルノズルを差し込む。
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さらにフォグネイルノズル後部を専用ハンマーで叩いて固定する。
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レバー操作で放水開始。建物内の温度を急激に下げて、一気に冷却できる。反動力がほとんど感じられないのが特徴だ。
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ワイド放水のディフェンスは、有効放水範囲は距離にして2mだが、ノズルを中心に広がる拡散範囲は5mに及ぶ。一方通常のナローは8mまでの距離で有効(拡散範囲は3m)。
その他の装備
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照明装置が設けられた庫内やステップ。
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室内の足元灯は発色のよい青色灯。
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油圧ツールに併せてハリガンツールやアックス(斧)も常備する。
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加圧送風機を2機搭載するためのスペースは、特別に奥行を深くしてもらった。
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渋消では化学車が車両火災に出動することから、バッテリー式油圧救助器具(マルチツール)を積載。さらにエンジンカッターやチェーンソーも装備する。一方、「使わないものは積載しない」が基本で、ガンタイプノズルに統一した今日では、管鎗関係はすべて下ろし済み。

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