化学消防ポンプ自動車Ⅱ型
渋川広域消防本部
左資機材庫
ルーフ
ポンプ
水タンク容量は最大1750L
ベース車両は日野レンジャー。艤装を担当したのはモリタである。ちょうどフルモデルチェンジの時期と重なった日野レンジャーは、アドブルー(尿素SCRシステム)を新たに搭載したため右側のサイドボックスがデッドスペースとなってしまった。しかしこの問題は、新たに車体をハイルーフ型として天井裏に収納スペースを確保するとともに、積載資機材を何度も計測し、ミリ単位で図面を見直すことで克服した。
いざ実戦となったときに、もっとも重要になる水の確保については、1500Lの水タンクに加えて500Lの泡原液の搭載が可能。また泡原液タンクは各250Lの2槽に分かれており、バルブ操作によりうちの1槽を水タンクとして活用することができる。これにより不運にも水利に恵まれなかったとしても、即座に最大1750Lの水を放水できる態勢がとれる。
さらに新型化学車積載の特筆すべき資機材としては、消火活動と並行して交通救助活動も展開できるバッテリー式油圧救助器具(マルチツール)およびハリガンツール、車両天板に配備した取り外し可能な放水銃(クロスファイアー)、屋内侵入経路確保のための排煙用の加圧送風機2機、屋内救助活動中のパニック防止ならびにバディ間のはぐれ防止のための屋内検索用ロープ(RIC/Tサーチバッグ)が挙げられる。さらに将来の渋消式消火戦術を担う資機材として、フォグネイルノズルが導入された。
これまで全国の消防本部からその消火戦術が熱く注目されてきた渋川広域消防本部。今ここに、意欲あふれる装備を満載した新型化学車を得て、その戦術は今後、どのように進化していくのだろうか。渋消スタイルから目が離せない。
車内
次のページ:
ミスト放水が安全性と消火効率を向上