化学消防ポンプ自動車Ⅱ型<br>渋川広域消防本部

日本の消防車両

化学消防ポンプ自動車Ⅱ型
渋川広域消防本部

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左資機材庫
化学消防ポンプ自動車Ⅱ型 渋川広域消防本部
管内に山間部が多いという地域性もあり、ホースはなるべく多く積載しておきたい。さらにホース延長が簡単にできるよう、ホースはすべてホースバッグに積載している。ホースバッグは通常2本入りのところ、3本入りにした渋消式。65mmホースバッグ×2、50mmホースバッグ×4、40mmホースバッグ×2が基本で、それらをゆったり積載できる構造に仕上がっている。
ルーフ
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車外でもピンマイクで話せる無線アンテナが天板に設置される。関東梯子製のキャスター付き三連はしごは従来のアルミ式から強度向上および軽量化を図り、もっとも負担のかかる先端3段分をチタン製の無垢材とした。
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河川等における救助事案に対応できるよう船形担架を常時積載。
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アルミ縞鈑ボックスはダンパー式を採用。
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密集地や強風下での火災に対応するためにクロスファイア放水銃を装備。射程距離は約63mで、毎分2000L以上の放水が可能。
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放水銃は取り外して携行できる。
ポンプ
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ポンプ圧力を常に1.2MPaまで上げ、フル回転で運転するのが渋消の戦術だ。ガンタイプノズルのハイプレッシャー化に対応し、初めてA-1級ポンプを積載。規格放水量のアップはもとより、超長期にわたるポンプへの負担軽減で車両更新期限の長期化も目論む。
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整然としたポンプの操作盤。通常は車内のPTOスイッチでポンプを起動するが、ポンプの操作部からも起動できるようになった。
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現着後、即座に放水を開始するため、ポンプ周りのセンター吸管の止め金具を改良。オールシャッター式であることからセンター吸管下部の飛び出し防止用ステーを除去、さらに吸管の留め金の向きを変更した。4枚バネ内蔵の留め金を跳ね上げれば、ワンタッチで吸管を外して伸張できる。
水タンク容量は最大1750L

ベース車両は日野レンジャー。艤装を担当したのはモリタである。ちょうどフルモデルチェンジの時期と重なった日野レンジャーは、アドブルー(尿素SCRシステム)を新たに搭載したため右側のサイドボックスがデッドスペースとなってしまった。しかしこの問題は、新たに車体をハイルーフ型として天井裏に収納スペースを確保するとともに、積載資機材を何度も計測し、ミリ単位で図面を見直すことで克服した。

いざ実戦となったときに、もっとも重要になる水の確保については、1500Lの水タンクに加えて500Lの泡原液の搭載が可能。また泡原液タンクは各250Lの2槽に分かれており、バルブ操作によりうちの1槽を水タンクとして活用することができる。これにより不運にも水利に恵まれなかったとしても、即座に最大1750Lの水を放水できる態勢がとれる。

さらに新型化学車積載の特筆すべき資機材としては、消火活動と並行して交通救助活動も展開できるバッテリー式油圧救助器具(マルチツール)およびハリガンツール、車両天板に配備した取り外し可能な放水銃(クロスファイアー)、屋内侵入経路確保のための排煙用の加圧送風機2機、屋内救助活動中のパニック防止ならびにバディ間のはぐれ防止のための屋内検索用ロープ(RIC/Tサーチバッグ)が挙げられる。さらに将来の渋消式消火戦術を担う資機材として、フォグネイルノズルが導入された。

これまで全国の消防本部からその消火戦術が熱く注目されてきた渋川広域消防本部。今ここに、意欲あふれる装備を満載した新型化学車を得て、その戦術は今後、どのように進化していくのだろうか。渋消スタイルから目が離せない。

車内
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渋消初のAT車。管内には坂が多く、クラッチの消費等を考慮し変速機には6速ATを採用。坂道発進に不安はあるが、通常走行では負担が軽減されたと概ね好評である。
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変速機はダイヤル式。通常のDレンジでは2速発進になるため、急峻な場所で発進する場合は、マニュアル操作で1速に切り替える。
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火炎暴露からの保護、あるいは火災室内外の温度差を考慮し、空気呼吸器には防傷ボンベカバーを装着。
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ヘッドレスト部分には独特の書体で「渋消」と入る。「EVERYONE GOES HOME」は救助者、要救助者とも無事に帰還できるようにという祈りが込められている。
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ハイルーフ化により天井高は1800mmを確保。また収納力が大幅にアップした。ハイルーフ部には救急バッグや個人用ハーネス、膝パッドなどを格納する。座面跳ね上げ式シートで作業空間が広がった。
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空気呼吸器内蔵シートはそのまま引っ張るだけで呼吸器を取り外せるスマートドックを採用し、隊員は一瞬で展開できる。

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