
リニューアル指揮車
大月市消防本部
大月市消防本部 大月市消防署[山梨県]
写真◎編集部(特記を除く)
救急車から指揮車へ
新たな使命を担う車両
役目を終えた救急車
次は現場を指揮する
山梨県大月市消防本部では、救急車としての耐用年数を迎えた車両を再利用し、指揮車として再活用する取り組みを行っている。今回完成した指揮車は、この方法で製作された2台目の車両で、2023年(令和5年)4月1日から運用開始している。
新たに製作された指揮車には、モニターやパソコン、プリンター、スキャナー、Wi-Fi、ドローンなど多彩な資機材が搭載されている。後部にはストレッチャー式の指揮台を設けており、車内外での情報収集や情報管理、さらには現場の見取り図作成も可能となっている。ドローンで撮影した映像をモニターに映し出すことができるほか、移動式の車両動態表示装置(AVM)や、消防団と情報を共有できるトランシーバーも搭載され、現場での指揮能力の向上に寄与している。

車両再生で広がる災害対応力
製作にあたっては、旧指揮車で使用していた資機材と新たに導入した資機材を整理し、取り出しやすさを重視して収納場所を工夫している。ドローンについても、安全に収納できるスペースを確保した。
さらに電源システムにもこだわりがあり、1500Wのインバーターやポータブルバッテリー、2台のサブバッテリーを搭載。エンジンをかけなくても資機材を使用できるため、騒音を抑えながら静かな環境での運用が可能となっている。加えて、照明装置には汎用バッテリーを採用し、他の資機材への電源供給にも対応している。
救急車としての役目を終えた車両が、指揮車として新たな機能を与えられ、再び災害現場で活躍することが期待されている。大月市消防本部の取り組みは、限られた資源を最大限に生かした好例といえるだろう。


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車内の大幅リニューアルとドローン併用モニター搭載!