ハイパーミストブロアー車&重機搬送車 那覇市消防局
線と面の合わせ技
HMBを従来のテンペストの大型ブロアーと比較すると、テンペストが煙を面で抑えるのに対し、HMBはスポットでストレートに強い風を送る。風量はテンペストが約21万㎥/時に対し、約10万㎥/時と少ないが、この少ない風量でストレートにミストを遠くまで飛ばせるというメリットがある。倉庫等の密閉空間での火災時には風+ミストを遠くまで飛ばすことにより、ミストが水蒸気になり体積が1700倍(100℃)にも膨張することから冷却効果+窒息効果があり、それを風で押し出すというイメージだ。
そこで、HMBのストレート送風に、可搬式ブロアー「ファナジーV22」(これも国内初導入)の面で抑える送風をプラスすることで、さらに効果的な排煙・消火活動が可能となった。
HMBは大型施設や地下空間、トンネル火災、中高層建物や立体駐車場等でのPPV消火戦術に使用するのはもちろんのこと、命の危険があるため隊員が近寄れない場所に、遠隔操作で投入することができる。たとえば、隊員が近寄れない石油コンビナート火災、航空機火災、ガス貯蔵施設火災、さらにはさらにはCBRN(NBC)災害や爆発物等のテロ災害で消火・排煙・排熱活動をさせることが可能で、ミストを使って緊急除染や救助活動を行うこともできる。
こうして隊員の「命」を守りながら活動できることこそが自走式ならではの最大のメリット。那覇市消防局でもHMBは今後の消防活動に大きな影響を与えるだろうと熱い期待を寄せており、HMBの有する能力を最大限に発揮できるよう消防局一体となって試行錯誤しながらさまざまな検証を行っている。
搬送車のシャーシは新型ギガ
HMBは自走式の車両だが、現場までは重機搬送車で搬送する。この車両もある意味日本初である。というのも、この車両は消防車両としてベースシャーシに新型ギガを使った日本初の車両だからだ。(同時期に新潟市消防局に配備された拠点機能形成車も同型シャーシ)
HMBおよび重機搬送車は、那覇市西消防署の小禄出張所に配備されている。ここは那覇空港を管轄するため、航空機事故や空港へ通じる海底トンネルでの災害にも即応できる体制になっている。
重機搬送車
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発泡もできる可搬式ブロアー 「ファナジー V22」