25mΣ型屈折はしご付消防ポンプ自動車(大型高所放水車仕様)<br>衣浦東部広域連合消防局

日本の消防車両

25mΣ型屈折はしご付消防ポンプ自動車(大型高所放水車仕様)
衣浦東部広域連合消防局

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真横へ約16mの水平伸梯

本Σ型では、一般の直進式はしご車では不可能となっている、高所での水平伸梯が可能である。梯体は屈折・伸縮を併用した特殊リンク構造となっており、この下部リンクを上昇させることで、地上高約9mの位置から真横へ約16mの水平伸梯が可能である。

この水平伸梯は、たとえば電線等を回避したり、低層階が張り出している建物や密集地でのブロック内など、手前に低層の障害物を有している場合に対しても、それらの障害物の上部にブームを水平伸梯することで、火点直近から放水銃にて俯瞰大量注水を行える。

さらに、大規模な工場や倉庫などの高層階においても、25m以上の高所の開口部に対して大量放水を行うことが可能である。低層建物上部に水平伸梯して建物越えの俯瞰注水などを行う場合や、高所の開口部に注水する場合などには、バスケットのリモコンカメラを使用することで、隊員がバスケットに搭乗しなくても状況を確認できる。

また、隊員が搭乗しての救助活動についても、先端のバスケットの許容荷重は2700N(270kg)であり、最大高さ25.5m、最大作業半径16mを可能としている。また、バスケットは左右の首振り機構を有しており、建物に対して斜めに架梯した場合においても、ベランダ等に対してバスケットを平行に設定することで、より安全な進入や救助が可能である。

バスケット
25mΣ型屈折はしご付消防ポンプ自動車 衣浦東部広域連合消防局
バスケットは乗降しやすいよう中央部にステップが設けられる。リモコン式放水銃が取り付けられ毎分3000リットル以上の大量放水が可能。
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バスケット左側にはカメラ装置が設けられ、基台部のモニターで高所画像を確認できる。
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バスケットにはLED照明装置が2基取り付けられている。うち、バスケット前面については煙霧に影響されにくい黄色LED。
毎分3000リットル以上の大放水

碧南消防署は管内の衣浦地区に、石油コンビナート等の特別防災区域を有しており、区域内には中部電力碧南火力発電所をはじめLPG基地、大規模工場などが立地している。そのため碧南消防署には三点セットとして、大化Ⅰ型大型化学消防ポンプ自動車と泡原液搬送車を配備しており、この屈折はしご付消防ポンプ自動車が大型高所放水車の役割となっている。大型高所放水車の機能として、毎分3000リットル以上の放水能力を有するリモコン式放水銃とポンプ装置がある。

まず、ポンプ装置はA-1級のV3000型2段バランスタービンを搭載する。このポンプ部は口径75‌mmの中継口を左右に有しており、大型化学消防ポンプ自動車で泡混合されて圧送された泡混合液を増圧する。塔への送水は、ポンプ部から専用配管を介して旋回部継手、伸縮水管を通してバスケットまで接続されている。

バスケット前部のリモコン式放水銃は、毎分3000リットル、最大射程60mの能力で、石油タンク等に向けて大量の泡や水放射を行える。大型高所放水車の規格は22m以上であるが、タンク火災以外に工場火災や高層建物火災などにも対応するため、より高く、さらにさまざまな姿勢で大量放水できることが望ましい。本Σ型は、屈折はしご式大型高所放水車としては唯一、全伸梯状態の約26mからはもちろん、全姿勢範囲における大量放水が可能となっている。

石油コンビナート災害などの危険物火災などにおいて、大型高所放水車は有効注水を行うため火点近くに設定するが、危険が伴う場合がある。そのため、50m離れた位置から梯体、放水銃およびポンプ装置が操作可能なリモコン装置が装備されている。また大化I型大型化学消防ポンプ自動車および泡原液搬送車と接続することで、ポンプ装置の連携や泡原液の自動補給などが可能となる省力化システムも有している。

操作部
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水平矯正はアウトリガー矯正式のため、ロングストロークアウトリガーとなる。
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基台操作部には様々な表示部や操作装置が設けられ、着座しながら各種操作ができる。
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ポンプ部には吸口、中継口、吐水口のほか上部にはポンプ制御装置、圧力計、流量計などが並ぶ。
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アウトリガー敷板は後軸上のスペースを利用して収納される。
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アウトリガー張り出し幅が左右のジャッキ中心間隔で4mと小さいため、キャブのドアが開く程度の幅で全方向へ伸梯可能。

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