
25mΣ型屈折はしご付消防ポンプ自動車(大型高所放水車仕様)
衣浦東部広域連合消防局
衣浦東部広域連合消防局 碧南消防署[愛知県]
写真・文◎橋本政靖
日本の消防車2019掲載記事
高所での水平伸梯が自慢! マルチに使えるΣ型はしご
走破性向上の3軸シャーシ
愛知県中部の西三河地区に位置している衣浦東部広域連合消防局。平成15年4月に、碧南市、刈谷市、安城市、知立市および高浜市の5市消防本部が合併して誕生しており、1本部5署6分署1出張所432名で203平方キロメートル、21万6000世帯、53万人の地域の安全を守っている。(取材当時)
この衣浦東部広域連合管内は国内有数の衣浦臨海工業地域であり、トヨタグループをはじめとする輸送機関連の工場が多数立地しているほか、三州瓦に代表される窯業や石油コンビナート等特別防災区域も有している。今回、碧南消防署にΣ型25m屈折はしご付消防ポンプ自動車が配備された。
これまでのΣ型25m屈折は2軸シャーシであるFHをベースとしていたが、本車両は日野プロフィアの3軸シャーシ(前1軸、後2軸)であるFQ(低床型12tシャーシ「GVW22t」)をベースとして、車両総重量は20t未満に抑えている。後輪2軸は2デフ(2軸駆動)となっており、1軸駆動である従来のFHに比べ、悪路の走破性が向上している。また今回のモデルチェンジにより、後軸がエアサス仕様となっている。
2軸車から3軸車になることで車体サイズが大きくなり、小回りが利かなくなる印象があるが、最小回転半径は2軸車と同様の8.0mであり、同等の機動性が確保されている。この3軸シャーシをベースとしたΣ型25m屈折はしご付消防ポンプ自動車は、これまでに北海道に3台配備されているが、本州では今回が初配備となる。なお、本車両は緊急消防援助隊の特殊装備小隊に登録しており、管内はもとより全国各地へ出場する。






密集地や大規模火災にも対応
Σ型の梯体は3折・3段伸縮の「Σ」字型の特殊なリンク機構を有しており、下部リンクが上下し、上部のブームが起伏および伸縮する。これらのリンク機構を併用することで、ブームを様々な方向に向けることができる。そのため、一般の直進式はしご付消防自動車や屈折はしご付消防自動車では困難な位置にも架梯することが可能である。
このように作業範囲が極めて広いので、後述するように電線等の障害物の回避や、ブロック内火災などにおける低層階越しの救助や消火が可能である。また中高層火災用以外に、低層建物火災にも使用可能であるなど使用範囲が広がっている。
さらに、以下のような特徴がある。
●Σ型屈折はしごの特徴であるアウトリガ張り出し幅が小さい
●ブームの後部張出が小さい
●耐風速が16mと高い
●すべての作業範囲で放水可能
これにより密集地火災、大規模建物火災のほか強風下における火災にも有効である。またジャッキ矯正式であるため、アウトリガーを設定した時点で傾斜矯正が完了していること、さらには梯体収納状態でバスケットに搭乗可能なため、現場到着しアウトリガーを設定後に直ちにバスケット搭乗するような迅速な活動も行える。
Σ型ならではの伸梯パターン 放水・救助態勢は自由自在!






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真横へ約16mの水平伸梯