水難救助車 <br>釜石大槌地区行政事務組合消防本部

日本の消防車両

水難救助車
釜石大槌地区行政事務組合消防本部

釜石大槌地区行政事務組合消防本部 釜石消防署[岩手県]

写真・文◎橋本政靖
Jレスキュー2016年9月号掲載記事

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その姿、圧巻。
ユニークボディに水難救助仕様が充実

水難救助車 釜石大槌地区行政事務組合消防本部
Point1:コンパクトボディに 特徴的なルーフ構造を採用

外観上もっとも気になるのが車体上部のアオリ状の構造物。車上にゴムボートを積載しているため、走行時の風抵抗からゴムボートを守れるように空力学的に緻密に計算して加工され、この形状になっているのだ。シャーシにはマイクロバスシャーシのバン仕様であるトヨタコースタービッグバンを採用。標準仕様は乗車定員9名・最大積載量1250kgだが、同車では乗車定員6名(補助席1名を含む)とし、後部の資機材積載スペースに重量を割いた。

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右側には運転席後部の窓、左側には隊長席用ドアと隊員用スイングドアを設置。マイクロバスベースのためコンパクト化しつつも収納は大容量。
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ハイルーフ上部の特徴的なルーフトップ風防がよくわかる。風防の前面にはLED式赤色警光灯を7個配した。(写真提供/釜石大槌地区行政事務組合消防本部)
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車上は、ルーフトップ風防の内側にゴムボート、フロート担架、かぎ付単はしご、クレーン装置、可倒式LED照明装置を配置。
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車体右側は運転席ドア後部の窓がある部分が隊員席、それより後方は資機材庫となっている。
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車体左側のサイドオーニングを展開すれば、現場指揮本部等を設営することもできる。
Point2:クレーンは小型トラック、荷台用を改造

ゴムボートの積み下ろしには古河ユニック製の小型トラック荷台内架装型バッテリー駆動クレーン(UE500AV改)を搭載。標準仕様では最大490kg吊だが、同車はマイクロバスシャーシにクレーン装置を架装するため、車体強度や安定性を考慮して最大吊り上げ重量を120kg(ゴムボートプラスアルファ程度)に制限している。また同本部での水難救助活動は海難救助が主でありゴムボートを港湾の岸壁上から海面まで降ろす必要があるため、地上高からさらにマイナス4mまでクレーンで降ろせるようにした。

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車上左側面後部に設置されたゴムボート積み下ろし用の電動油圧式クレーン装置。最大吊り上げ重量は120kg。
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クレーン使用時はリア手前側面に収めている手動式アウトリガを設置し、車体の安定化を図る。
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クレーン装置を使えば、ゴムボートを車上から岸壁下の水面まで降ろすことが可能。活動の迅速化と効率化が図れる。
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資機材積載庫。リアの観音扉外側にははしごを設けており、上部積載部への昇降が可能だ。

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サビに強い資機材積載部 他

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