訓練だからといって甘くない土砂災害対応連携訓練<br>駿東伊豆消防本部

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訓練だからといって甘くない土砂災害対応連携訓練
駿東伊豆消防本部

2024年(令和6年)9月25日から26日の2日間、静岡県の駿東伊豆消防本部が主催した「建設業協会・消防機関・警察機関土砂災害対応連携訓練」が実施された。

写真・文◎木本晃彦

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令和6年9月25日から26日の2日間にわたり、駿東伊豆消防本部が主催する「建設業協会・消防機関・警察機関土砂災害対応連携訓練」が実施された。この訓練は今年で4回目となるもので、開催にあたっては地元建設業協会から大きな支援を受けて行われている。

駿東伊豆消防本部は令和3年3月に総務省消防庁から重機と重機搬送車を無償貸与されている。田方北消防署へ配置されるとともに、同年7月に「重機隊」が発隊した。発隊とほぼ同時である7月3日に「熱海市伊豆山土石流災害」が発生し、貴重な戦力として救助活動へ投入されることとなった。しかし、経験不足から隊員の思ったような活動ができず、実践的な訓練の必要性を痛感。重機使用のプロフェッショナルである地元建設業協会へ指導をお願いしたことがこの訓練のきっかけとなった。

土砂災害連携訓練 駿東伊豆消防本部
普段は残土処理場として使用されている訓練会場。訓練のために悪路走行コースが造成されたほか、想定訓練に使用する車の用意や倒木・埋没状況の再現まで建設業協会が行っている。訓練終了後は残土処理場として利用されることになる。

駿東伊豆消防本部の要請に応えた土屋建設は、東日本大震災から全国で報道されるような大規模災害現場へ初期の段階から派遣出動する実績を持つ企業だ。実際の現場経験から重機訓練プランを考え、地元建設業協会と共同で自社の残土処理場へ現場を想定した訓練コースを構築。さらに、想定訓練用に自家用車埋没状況の再現や倒木処理の教材となる木材まで調達する力の入れようだ。ここまで力を入れているのは「建設業者も防災関係者の一員」という考えによるものだ。静岡県建設業協会では令和5年に建設業緊急援助支援隊「C-DIST(シーディスト)」を発足させており、駿東伊豆消防本部管内2市1町では60社を超える建設業者が加盟している。加盟業者は規模も装備品も違うが、共通することは地域を良く知っており、「土」や「水」などの地域事情に精通している。有事には緊急輸送路の道路啓開にはじまり孤立集落への経路の確保を担い、防災の最前線である消防・警察といった専門職の人達と人命救助の支援へあたることも想定される。こういった時に、日頃培った経験を活かして防災関係者の一員として何ができるのか?という問題を考えた時に、訓練支援という一つの解答が出されたわけだ。これは単なる技術向上だけではなく「顔の見える関係づくり」も大きな課題とされた。相互理解を深めお互いが何を考えているか、作業時の取り組み方を理解する重要な機会とされている。

土砂災害連携訓練 駿東伊豆消防本部
悪路走行訓練のうち、障害物踏破では3カ所の関門が設けられた。これはその一つで、埋設されたパイプを踏まずに乗り越えるというものだ。建設業協会員の適切な指導は、焦ることなく課題をクリアできると参加隊員からも好評であった。

訓練への参加組織は年を重ねるごとに増えており、消防では静岡県内で駿東伊豆消防本部以外で唯一重機隊を持つ静岡市消防局が参加。地元の静岡県警察伊豆中央警察署に加え、今年は国土交通省中部地方整備局沼津河川国道事務所から25日に照明車、26日には排水ポンプ車が参加した。

訓練は4班に分かれて行われ、①基本的な掘削や重機操作、②バックホー等でのダンプ積み込み、③チェーンソー操作、④悪路移動に挑んだ。悪路移動では「玉石」「狭隘走行」「段差越え」「急勾配登坂」「泥沼・スタック」「障害物(3種)」の6項目を設定した教習コースが用意されており、実践的な訓練が展開された。

午後に入ると想定訓練が実施され、参加組織が現場指揮本部へ参集したのち、土砂に埋もれた要救助者の救出訓練を展開。その後、建設業協会のオペレーターによるデモンストレーションや、建設業協会と訓練参加組織対抗の重機による「棒倒し」を実施して終了となった。訓練に参加した静岡市消防局重機隊の隊長は、「災害現場での活動においても自信が持てる」と訓練成果を感じ取っていた。

土砂災害連携訓練 駿東伊豆消防本部
泥沼・スタックの走行では履帯が完全に水没する状況を体験。
土砂災害連携訓練 駿東伊豆消防本部
バックホーのアームで水深を探りながら慎重に進んでいく。実際の被災現場を経験したからこそ設定できた訓練メニューといえよう。

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