誇りと情熱にあふれた111人のすごいチーム<br>東京消防庁装備部装備工場

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誇りと情熱にあふれた111人のすごいチーム
東京消防庁装備部装備工場

東京消防庁装備部の装備工場は世界的にも珍しい消防車両の専用整備工場。普段なかなか見ることができない装備工場をすみずみまで見ていくと、そこには隊員らの活動を支える整備士たちの驚くべき職人魂が浮かび上がった。

[写真]『確実な機器を災害現場へ』をモットーに、東京消防庁が運用する1974台の車両と積載資機材のすべての整備を職員111名で担う。

写真◎伊藤久巳
Jレスキュー2018年3月号掲載記事

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東京消防庁装備部装備工場は東京都渋谷区幡ヶ谷、甲州街道にほど近い場所にある。敷地面積1万1638平方メートル、建物延べ面積7040平方メートル。職員数約1万8000名を擁する巨大組織・東京消防庁は管内に約300(292)署所を置き、1974台(平成29年4月1日現在)の消防車両を運用する。この装備工場ではこれら消防車両と消防が使用するありとあらゆる装備、いわゆる「機械器具」といわれるもの全般の点検整備や修理を担当しており、工場内には常時50台、多い時には100台近い消防車両が入工している。以前は同様の施設が全国に数ヵ所あったというが、次々に閉鎖されてしまい、消防車両を専用に整備する施設としては日本唯一となっている。

装備工場に勤務するのは整備士、消防吏員、事務職員など計111名。この人数で東京消防庁全車両の法定点検(12ヵ月点検、継続点検(車検))を行うと同時に、突発的に発生する不具合にも24時間体制で対応する。整備士の採用にあたっては、「自動車整備職」の枠で整備士資格を保有する即戦力となる人材を採用している。

中庭から南東方向を見る。下の大きい棟がはしご車などの大型車を多く扱う第一工場(特殊整備職場)。中央では特殊整備職場の開閉式の大型天窓を開放している。なお、写真のさらに上に消防学校、右に第三消防方面本部訓練場と同本部消防救助機動部隊庁舎がある。
災害活動隊にも帯同する整備士

東京消防庁装備工場の歴史は古く、発足は大正10年にまでさかのぼる。まだ警視庁消防部という警視庁組織の一部だった時代に、消防車専用の修繕工場として深川区(当時)に設立され、昭和24年に現在の渋谷区幡ヶ谷に移転。昭和57年に改築されて現在に至る。

整備士の仕事はかつては工場内で行う作業がメインで、管内の現場で消防車両が故障した際などには現場に出動していた。現在でもそれは変わらないが、平成7年の阪神・淡路大震災以降、新潟県中越地震、東日本大震災と大規模災害時に緊急消防援助隊・東京都隊として遠方に出場する機会が増えてきた。災害派遣では長距離移動、損壊した道路の走行など過酷な条件で車両を使うことになるため、不具合の発生が危惧される。東京都隊として数十台単位の大部隊で出場する際に、車両の整備チームを帯同させる必要があると判断した東京消防庁では、平成20年度に整備専用車両「整備工作車」を1台更新。東日本大震災では平成23年3月11日から28日間、隊員と車両を派遣し、宮城県と福島県で車両・器具合わせて計118件の整備を行った。また平成24年度には専用車両を1台増強配備し、平成26年の御嶽山噴火災害では火山灰によるエンジン不調等や、泥濘化した火山灰が器具等に付着したことから除去および点検整備作業を実施するなど現地で即時修理を行い、他本部の車両も整備したという。平成28年に開催された伊勢志摩サミットへ警戒出場した東京都隊にも帯同しており、故障した車両機器を即時復活させる部隊として東京消防庁にとってなくてはならない存在となっている。

さらに、あまり知られていないが平時もローテーションで4名が夜間休日も工場に待機しており、24時間365日体制で、消防車両の道路上での走行不能など緊急を要する事態に対応している。

受付
装備工場の受付。車両・資機材の入工や引き渡しの手続きを行う。
タイヤ置き場
すべての車種に適合するオールシーズンタイヤ、スタッドレスタイヤが揃う。その数、約650本。
通常の空気充填ではなく点検整備が必要な空気ボンベ。4.7Lボンベ1万本、6.7Lボンベ2000本を東京消防庁全体で保有している。
電装室
赤色警光灯の点検、整備が進められている。
あらゆる電装部品を分解できる工具が揃い、収納場所も決まっている。
塗装場
不要な部分をマスキングし、大型のガンで塗料を一気に吹きつける。灯具により自然光に近い環境に調整可能。
同じ朱色でもメーカーや年式等で微妙に異なるので、さまざまな塗料が用意されている。
塗装用のスプレーガン。小範囲の塗装に使用する。

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