土砂災害での「トレンチレスキュー」実践!<br>令和7年度 埼玉県第4ブロック緊急消防援助隊合同訓練

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土砂災害での「トレンチレスキュー」実践!
令和7年度 埼玉県第4ブロック緊急消防援助隊合同訓練

2025年(令和7年)10月3日、埼玉県蓮田市の総合市民体育館およびハストピア周辺において、「令和7年度 埼玉県第4ブロック 緊急消防援助隊合同訓練」が実施された。

写真◎編集部

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埼玉県第4ブロック、災害対応力を結集!

令和7年度埼玉県第4ブロック緊急消防援助隊合同訓練
訓練場所に集結した埼玉県第4ブロックの消火中隊。
緊援隊訓練で見せた迅速な連携と頼もしさ

2025年(令和7年)10月3日、埼玉県蓮田市の総合市民体育館およびハストピア周辺において、「令和7年度 埼玉県第4ブロック 緊急消防援助隊合同訓練」が実施された。

本訓練は、大規模災害発生時における迅速な参集と的確な連携行動の確立を目的としたもの。特に、第4ブロック中隊の連携強化や後方支援体制の確認を通じ、緊急消防援助隊としての即応力と実戦的な対応能力の向上を図った。

想定は、震度7の地震が発生し、甚大な被害が生じたX県への出動要請。埼玉県統合機動部隊が現地で活動を展開する中、後着の埼玉県大隊が集結完了後、次々と被災地へ進出していくシナリオで行われた。

訓練には、第4ブロックを構成する越谷市、春日部市、草加八潮、蓮田市、羽生市、三郷市、埼玉東部消防組合、吉川松伏消防組合の各消防本部・局から計28隊が参加。

実施内容は、情報伝達から参集行動、消火・救助・救急活動、そして給食などの後方支援に至るまで、災害対応の全過程を網羅した。特に、土砂災害を想定した救助訓練や、今回から初めて訓練に取り入れられた救急中隊訓練ではDMATと連携したトリアージ訓練など、現場力を磨く実動訓練が注目を集めた。

この日の訓練を通じて、各消防本部がそれぞれの人員・技術・装備を最大限に生かし、一つの“埼玉県大隊”として機能する強固な連携体制が確認された。
いざという時、被災地の人命を守るために――。県内各消防の確かな備えと頼もしさを感じさせる訓練となった。

【災害救助対応訓練・前半】
令和7年度埼玉県第4ブロック緊急消防援助隊合同訓練
土砂災害訓練となる想定1会場では、崩落の危険性がある低所で負傷した要救助者の救出活動を想定。溝状の地形で活動する際、周囲が崩れないよう処置を行い、二次災害を防止しながら救助活動を行う「トレンチレスキュースキル」の共有が行われた。
令和7年度埼玉県第4ブロック緊急消防援助隊合同訓練
隊員の自己確保を図るため支点となる杭打ちを行う。パイプを手で握った状態で杭打ちをするとハンマーで腕を負傷する恐れがあるので、スコップの取っ手部分にパイプを通して固定する。スコップ2本と隊員2名で行うとより安定することができる。
令和7年度埼玉県第4ブロック緊急消防援助隊合同訓練
ホットゾーン、ウォームゾーン、コールドゾーンを設定。ホットゾーンは深さの2倍以上にする。グランドパットは重ねるように敷くのではなく、荷重を分散させるように周りに敷き、トレンチの崩壊を防ぐ。崩壊程度が確認できるよう、グランドパットは少しの隙間をあけて置くとよい。この時に不安定箇所は目印を付けて周知徹底すること。間を空けることで、地上からの土圧を分散し崩落を防ぐ。
令和7年度埼玉県第4ブロック緊急消防援助隊合同訓練
ガードパネル(矢板)を設置する前に土圧を均一にするためのあて木を設置する。
令和7年度埼玉県第4ブロック緊急消防援助隊合同訓練
トレンチ内の再崩落を防止するためガードパネル(矢板)を地中に軽く押し込む。
令和7年度埼玉県第4ブロック緊急消防援助隊合同訓練
ガードパネル(矢板)を固定する先端は木杭となるようにカットしている。

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ガードパネル設置・後方支援・救急中隊訓練へと続く