
Report
鉄を裂き、命をつなぐ
北海道警察が車両破壊救出訓練
2025年(令和7年)8月25日・26日の2日間にわたり北海道警察は車両破壊救出訓練を行った。
写真・文◎チビ丸
救助はチームの力で速く、確実に
轟音とともに鉄が裂け、ドアが開く。緊張感に包まれた訓練場で、北海道警察機動隊の隊員たちが車両に挑む姿はまさに実戦そのものだった。北海道で今後発生が懸念される大規模災害を想定し、2025年(令和7年)8月25日・26日の2日間にわたり実施された「車両破壊救出訓練」。地震や豪雨、雪崩等で車両が押し潰され、要救助者が閉じ込められる状況を想定し、人命救助に直結する技術を磨いた。
今回、講師を務めたのは白老町消防本部の消防士長・長野光希。国内外の交通救助研修を修了し、全国でも数人しかいないインストラクターの一人である。長野は「車体の構造を知り、どこを切り、どこを広げれば最短で救出につながるのかを判断できるかどうかが生死を分ける」と強調し、最新の技術や現場の知見を余すことなく伝えた。
隊員たちは大型油圧救助器具をはじめとするレスキューツールを手に、汗にまみれながら車体を切断・拡張する。その背中には「道民の命を守る」という揺るぎない使命感があった。
警察と消防――異なる組織が専門性を共有し、連携力を高めることで、救助の力は格段に強化される。今回の訓練は単なる研修ではなく、北海道の未来を守るための力強い一歩だ。車両を切り開く音の向こうに、確かな安心と信頼が築かれていく。
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さらに車両破壊救出訓練が続く