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地中転落車両から救出せよ!
東京消防庁 九本部ハイパーレスキューが全能力を投入
東京消防庁第九消防方面本部消防救助機動部隊では2025年(令和7年)7月8日、令和7年度消防活動技術訓練効果確認を実施した。
写真・文◎伊藤久巳
令和7年度 消防活動技術訓練効果確認
「訓練救助活動! 九本部機動部隊特命出場! 下水管敷設工事中の深さ約1.8mの掘削内に乗用車が転落、作業員2名が挟まれ脱出不能!」
東京消防庁第九消防方面本部消防救助機動部隊(土砂災害対応特化隊)では2025年(令和7年)7月8日、令和7年度消防活動技術訓練効果確認(通称、「効果確認」)を実施した。効果確認は毎年度、各部隊、各隊が日頃の訓練成果を確認者に展示する東京消防庁の定期訓練で、今年度は先の令和7年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事案を踏まえた想定が組まれた。同部隊では実際に起こり得る災害を考え、訓練し、あらゆる災害に対し備えを万全にすることにより、想定外を想定内にし、部隊活動能力の向上をさらに高めながら、都民の安全安心を確保するとしている。
具体的な想定は、乗用車がハンドル操作を誤り、老朽化した下水管の敷設替え工事現場に突っ込み、地上部分に資材として置いていた下水管を巻き込みながら転覆。作業員が巻き込まれ、乗用車内を含む要救助者3名が発生したというもの。3名は乗用車内、下水管挟まれ、H鋼挟まれが各1名。
この想定に対し、1部から3部の各部隊は、救出救助車(RF2 /ウニモグ車)、強力吸引車(TW2)を含めた同部隊特有の車両、装備、資器材を活用した上で、部隊ごとに各部隊長指揮の下、独自の作戦で救助活動を展開し、土砂災害全般の活動能力のさらなる向上を図る。



訓練内容のポイントは以下のとおり。
・救出救助車(RF2)の杭打ち機を活用した土止め
・トレンチ内でのレスキューサポートなどを活用した安全確保の構築
・強力吸引車(TW2)を活用した土砂吸引
・高度救助資器材を活用した要救助者の検索
・転覆した車両の固定要領と狭隘空間からの要救助者の車外救出
・ドラグショベル大によるH鋼の除去
・下水管の質量目測とクレーン車(TW1)を活用した玉掛け、吊り上げ
・土砂現場における安全管理
などとされた。
救助完了想定時間は45分。確認者は消防正監・大石正年第九消防方面本部長で、同方面本部副本部長を審査長とする計5名の審査員審査。確認項目は、部隊長を核とした組織的な活動、各級指揮者の指揮と部隊員の連携活動、クレーン車(TW1)と重機の効果的な活用、狭隘空間での救出、強力吸引車(TW2)を活用した土砂除去、要救助者の優先順位の判断と観察、処置、活動局面に応じた適切な安全管理とされた。
各部とも、独自性のある救出方法、要救助者の救出の順番は違えど、きちんとポイントを踏まえ、厳密な安全管理の下、迅速かつ確実な救助活動を展開。想定時間内に3名の要救助者の救助を完了、活動を終了した。



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救助活動開始!救出救助車(ウニモグ)が活躍!