焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」

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焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」

静岡県の焼津市では2021年(令和3年)2月28日、市消防団にドローン仕様車両を配備した。焼津市消防団は令和元年発足のドローン隊「SKY SHOOT(スカイシュート)」を擁しており、このドローン仕様車両はドローン本体と飛行に必要な資機材を運搬するほか、緊急時には屋根のヘリポートから離着陸ができる仕様など、ドローン運用の際の拠点となる。全国初の試みであるドローン仕様の消防団指揮車、その特徴を紹介する。

文◎焼津市消防団事務局
写真◎伊藤久巳(特記を除く)
Jレスキュー2021年5月号掲載記事

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この試みは全国初!

大型モニターと指揮台で前線指揮所の設営も

人が立ち入れない場所や上空からの情報収集、地震や大雨などによる大規模災害時の活動、更には日常の訓練や消火・救助活動など、様々な現場で迅速かつ的確な活動が可能になると期待し、2015年(平成27年)に早くもドローンを導入した焼津市。防災航空隊「BLUE SEAGULLS」を立ち上げ、MATRICE M210など複数の機体を運用している。

このたび、焼津市消防団に配備されたドローン仕様車両は、焼津市の特注で製作された5名乗りのワゴンタイプで、排気量は1600cc。車内にはドローン4機(いずれもDJI製ファントム4)と、関連資機材を運搬できるスペースを確保。さらにドローンに搭載されたカメラからの映像を確認・共有するため、19インチの大型カラーモニターを装備する。このモニターは取り付けアームを伸長することで車外に展開できるほか、晴天下でも見やすい視認性を備えている。

車両の外観上の特徴は、屋根がヘリポートになっている点だ。視界不良時でも上空から視認しやすいよう、脱着式の点滅灯を備えている。もっともこの屋根上へリポートは緊急用で、通常の運用では車載している折り畳み式、あるいはマット型のへリポートを使用する。さらにもうひとつ備えるへリポートは裏面がホワイトボードになっており、足場台(横長脚立)に乗せることで作業台や指揮台としても活用でき、現場の状況に応じて使い分ける。車両左側面に装備されたタープを展開してその下にホワイトボードを設置、19インチモニターを直近に展開すれば、前線指揮所としての役割を果たせる。

車体には照明装置が備えられ、また可搬式の照明装置も積載しているので、夜間の活動にも対応できる。さらに後部座席をフラットにすれば、傷病者の搬送にも利用できる汎用性を備えた1台だ。

焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
ドローンの運用に特化した消防団車両は日本初の試みだ。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
SKY SHOOTが運用するのはDJI製のファントム4が計4機。4つの方面隊がそれぞれ1機を運用する。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
地面に直接設置するタイプのマット型へリポート。絵柄はSKY SHOOTのチーム名の由来となった、出初式での一斉放水。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
ドローン仕様車両は乗車定員5名のバンタイプ。ベース車両は日産自動車のNV200バネットバンDX。車体右側には市章が描かれる。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
屋根上にはヘリポートが設置されている。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
屋根上へリポートの四隅の外側には、悪天候時にも上空から視認できるよう、点滅灯が取り付けられる。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
チームのイメージカラーであるスカイブルーで描かれたSKY SHOOTのロゴと、大きなドローンマークが車両左側面に描かれる。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
車両左側面からタープを展張すれば、天候を選ばずに指揮本部が設営できる。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
キャンプ用の折り畳み式テーブルを活用したヘリポートも車載する。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
ドローンや関連資機材を搬送する台車。ドローンは専用の収納箱に納まる。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
ドローンが撮影した画像をリアルタイムで表示する。(写真/焼津市提供)
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
後部座席に設置された19インチの大型カラーモニター。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
足場台(横長脚立)は足の高さが個別に調節できるので、不整地でもヘリポートを水平に展開可能。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
足場台(横長脚立)に載せて使用する車載のヘリポート。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
ヘリポートの裏側はホワイトボード仕様。(写真/焼津市提供)
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
ドローンは後部荷室の中段に積載する。上段は、「SKY(風速計等のドローン用資機材)、LAND(AED等の救急資機材や火災時に必要な資機材)、COAST(救命胴衣等の水難救助の資機材)」と用途別の資機材が収納されている。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
後部座席を折りたためば大人ふたりが横たわれるフルフラット状態になり、傷病者の搬送等の用途にも転用できる。(写真◎焼津市)
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
全方位型照射型のLED投光器も車載する。
焼津市消防団のドローン隊「SKY SHOOT」
車両右前方上部に設けられた照明装置。(写真◎焼津市)

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