
Report
地下鉄サリン事件から30年
近隣6消防本部特殊災害訓練
ー太田市消防本部ー
群馬県の太田市、桐生市、伊勢崎市、館林市と栃木県足利市、佐野市の6市の消防本部でつくる両毛地区消防本部は2024年(令和6年)11月19日、太田市飯塚町のオープンハウスアリーナ太田で特殊災害訓練を行った。
写真◎編集部
1995年(平成7年)3月20日に発生した地下鉄サリン事件から今年で30年となる。
通勤時間帯、東京都内の地下鉄で霞ケ関駅に向かう3路線5方面の電車内において、オウム真理教幹部構成員が化学兵器サリンを散布し、多数の一般市民を無差別に殺傷した未曾有のテロ事件。日本国外では「Tokyo Sarin Attack」と呼ばれている。
事件発生当時の現場は混乱を極め、警察、消防、自衛隊、医療関係者など多くの人々が傷病者の救助や救護にあたった。
このような事件を教訓に日本の消防は、特殊災害対応力を高めるための資機材の整備や訓練が盛んに取り組まれるようになった。
あれから月日は経過したが、人が集まる施設において、いつ「テロ行為」が発生するかという危機管理は年々高まっている。災害が発生した場合、消防は各関係機関と連携し、マンパワーで対応することが必要不可欠であろう。
こうした災害への対応力を向上させるため、群馬県と栃木県の両毛地区にある6消防本部は、昭和51年に締結した両毛地区消防本部特殊災害相互応援協定に基づき、協定締結消防本部が毎年持ち回りで訓練を実施している。今年度の定例訓練は「BC災害対応訓練」とし、太田市消防本部が主幹となって実施した。
訓練はオープンハウスアリーナ太田の施設内でイベント中、不審者が観客席に液体を散布し、多数の負傷者が出たという想定。太田市消防本部が初動対応するも、多くの負傷者が発生していることから近隣6消防本部に部隊の応援要請をする。化学防護服を着た隊員が建物に取り残された負傷者を次々に救出するとともに、除染テントで汚染された負傷者を除染し、DMATと連携しながら搬送先を決めるまでの流れを確認した。参加した隊員は日頃の訓練以上に本番さながらの緊張感の中、協力して任務に当たった。
太田市消防本部の竹内富雄消防長は「市民の安全のため近隣の消防が協力し、継続的に訓練する必要がある。これからも引き続き近隣消防本部との連携を深めながら強固なものとしていく」と話した。







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防護服を着装した救助隊が救出救助を開始する